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9.全てが終わって

「何よ、もう。本当に気持ち悪いわね」 「気持ち悪いのはババアのほうだろう?さっきみたいに野郎の時の方がまだマシなんだよ」 「もう師匠!今回は師匠が油断しきっていたのが原因なんですから!反省してくださいよね?」 「全部俺のせいかよ」 不服そうなテオドールにギャンギャンと説教を始めるレイヴンを見て、本当に仲良しよね、と聖女が笑う。そのうちに軽く手を叩いて辞めさせると、3人でゆっくりと廃城を後にした。 +++ 聖女からの依頼を終えた数日後―― 魔塔主執務室に1つの荷物が届く。 その荷物をニヤニヤと楽しそうに抱えるテオドールを見て嫌な予感がしたレイヴンは無理矢理に荷物を奪って、安全確認の為です!と中身を確認する。 「聖女様からの贈り物ならば問題ありませんよ……ね?」 神官が運んできた聖女からの贈り物なのに、テオドールの様子がおかしいのが気になっていたのだが。中身を見て理解する。 「こ、これは……」 「なんだよ、驚かせてやろうと思ったのに。お、アイツ服の趣味だけはいいよな。似合うだろうなーお前に」 「似合うって……これ、あの時の!」 レイヴンが手にしているのは、ふわふわとした羽の飾りだ。天使を模したこの衣装は以前、女神を称える祭りでレイヴンが身につけていたものだった。 「それと、新しいのも一緒にな?」 テオドールが楽しげに違う衣装も拾い上げる。こちらも上質な絹で作られており、丈は長い素材だが羽織るだけのガウンに見えるのに何故か透けている。キラキラと反射が美しいが1枚で着ては身体が見えてしまうような衣装だった。 「綺麗ですけど……それ、そのまま着るものではないですよね?」 「これを着る時なんて限られているに決まってるだろ?俺の前だけ、な」 テオドールがわざわざ顔を寄せていうので、何となく理解したレイヴンは顔を赤らめてから、ワナワナと身体を震わせる。 「だから大人しく引き受けたとでも言うつもりですか?この、変態魔法使いは!」 「んなこと言って、着てくれるんだろ?絶対似合うってレイちゃんに」 「着心地は良さそうですけど、そんなスケスケなもの着られる訳ないでしょう!眠る時にだって着ませんよ!」 「あー……やっぱり夜か?楽しみだなぁ?」 「人の話を聞いてます?聞いてませんよね?じゃあ、この服は申し訳ありませんが……」 本気で破ろうとするレイヴンに、おいおい!と慌てて取り上げるテオドール。この服を着る時が来るのかどうかは、また別のお話。

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