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28.【閑話】ペネロープからの手紙

親愛なるルネ様  お元気でいらっしゃいますか。デーア大公国での暮らしはいかがですか。ご出産後の体調はいかがでしょう。驚きましたが、いつか必ずペネロープにもエミール様を抱っこさせてくださいませ。  さて、本日は悲しいお知らせがあります。ルネ様が懇意になさっていた村外れに住む老人が半年ほど前に亡くなりました。そのときはわざわざお知らせしてルネ様がご不安になられてはいけないと思いお伝えしませんでした。  そして今年は天候に恵まれず、リュカシオン公国は酷い飢饉に見舞われそうです。というのも、亡くなる前から長いこと老人は病に臥せっており、ルネ様と共に運用していました水路を使える者が国に誰一人いなくなりました。そのようなわけで、元々農作物の生産が落ちていたところへこの悪天候続きで、今年の畑は昨年よりも更に悲惨な状況になる見込みです。  更に不運なことに、殿下が重い病に倒れてしまわれて現在は長兄のアラン様が代わりをなさっている状態です。  今の所、城内の食料はまだ問題ありませんが、国内の至る所ところで食糧不足は既に表面化しております。ルネ様と老人を蔑ろにしたことからこのような惨事になっているということをバラデュール家の方々はようやく思い知ったようで焦っていらっしゃいます。でも、今更慌ててももう遅いです。  また、妃殿下とヘクター様は殿下の体調が悪くなられてからどうも様子がおかしいのです。はっきりしたことがわかりましたらまたお伝えしたいと思います。 ペネロープ

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