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第14話
チクリと刺さるような痛みを舌先に残し、男の唇が離れて行く。
甘い痺れの余韻で動けないヒナは、息も絶え絶えに男を睨み付けた。
「っ……へん、た、いーーがっーーァ?!」
悪態を吐く声が裏返る。
痛みで熱を孕んでいた舌先が、主張しているかの様に疼きだす。段々と喉の下へと降りてくるその疼きは、蚊に刺された後の感覚に酷似しており無意識に首筋を引っ掻いた。
「ーーっ、ンあっ! ァ……ナ、に?」
電流が流れたような衝撃に、体は大きく跳ねた。一度触れてしまった所が、痒みが増していき全身へと転移して行く。
止まない疼きを掻 き毟 りたい衝動に駆られるが、初めて感じた強烈な感覚に恐怖すら覚え、上手く動かせずベンチの外に投げ出された左腕は小刻みに痙攣する。
ヒナの葛藤を知ってか知らずか、男は仰け反る細い首筋をそっと撫で上げた。
「っアァ! !」
「ーー大丈夫、直ぐ終わるよ」
優しく穏やかな声音とは裏腹に、冷たい指先が容赦なくヒナの口内を責め立てる。
時折舌を掠めると、男の動きに合わせて漏れ出す声が甘く囀 る。
「……ココ、気持ちいい?」
ーー気持ち、イイ?
男に核心を突かれこの熱の正体を自覚した途端、痺れて感覚が鈍っていたはずの身体が快楽を貪りだす。
全身から吹き出た汗が流れ落ちる度、撫で回されているかの様な錯覚に陥り、もどかしさに腰をくねらせるーー。
「アァァ!! んンっ! んっ」
脚の間に置かれていた男の膝に、下着を押し上げていた膨らみが擦れてしまい、大袈裟なくらいに海老反りに跳ねた。
下半身に集まった熱を耐え忍ぼうと、口内にあった男の指を噛み締めるが、既にそんな些細な事でどうとなる事ではなかった。
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