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第17話

「ーーっ?! ァ……っ、なんっンっ」 極限まで高められた快楽を奪われた刹那、ヒナは現実に引き戻された感覚に陥った。 しかし、今感じる現実とは吐精を許されなかったという事実だけだ。絶頂間際、特有の数秒間の感覚が色濃く全身へ残り、息をするのもままならない。 「……嘘は駄目だよ」 どうにか酸素を取り込もうと力が入った腹部に薄らと浮き出たラインを、なぞる様に男は舌を這わせた。 ゆっくりと、丁寧に与えられる悦びにヒナの上擦った声が大きくなるーー次の瞬間、 「ッァアアっ! っアーーッんんん!」 一際(ひときわ)大きく鳴いたヒナは腰を突き上げ、下半身を痙攣させる。 胸部の突起に与えられた愛撫は、初めての経験で驚いたのと同時にせき止められていた欲望は体外へと放たれていた。 余韻で蕩けた瞳で男に視線を向けると、微笑みが返された。 「……気持ちよかった?」 軽く頷いたヒナを子どもをあやす様に優しく頭を撫でると、だらしなく開き溢れていた唾液を、舌で拭ってゆく。 「ーー舌、出して」 惚けているヒナは優しい声音に釣られるように赤く熟した舌を差し出す。 男は「いい子」と呟くと、その舌に自身の舌を絡めた。 漏れ出す声から明らかだが、男の舌を自ら迎え入れ与えられる悦びに浸っていく。 素直に受け入れた事により、不思議と開放的な気持ちになりより一層目の前の快楽を欲するーーーー二人の重なった口端から漏れ出るいやらしい水音が耳を侵し、再熱する性感を助長させいち早く汲み取った下半身が脈打つのを感じ取った。

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