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第5話

泣き腫らした顔を冷たい水道水で洗い、部屋着に着替えた僕はコンビニに辿り着いた。 籠を持った僕はお菓子コーナーのチョコの陳列に目を見開いた。 遠藤さんの言葉通り、秋の期間限定の栗やさつまいもを使用したチョコが豊富に並んでいたからだ。 「え、ちょっ、ヤバい!迷う」 あれこれ手に取っては品定め。 なんて言ったって、今を逃したら無くなるかも、な期間限定品。 かといって全ては購入できない、だって太っちゃうし、チョコも決して安くはないから。 結局、3つに厳選したチョコの入った袋を手に、鼻歌を歌いそうになりながら帰路に着く。 テーブルにチョコの入った袋を置くと、コンタクトを外し、眼鏡を掛けた。 近視が酷く、薄いレンズの眼鏡が作れなかったんだ。 薄いレンズにすると、結構な額になるから、差程、裕福ではない家庭だし、親には言い出せなくって。 クローゼットから300円で購入した箱に入れていた編みかけのマフラーを取り出した。 遠藤さんのアドバイス通り、マフラーを編みつつ、たまにチョコを摘み、疲れた所で紅茶を入れて、ほっと一息し、またマフラーを編む。 安らぐなあ...。 白とネイビーのボーダーのマフラーにした。 編み物は祖母が好きで物心ついた頃からばあちゃんが編んでたのを見てた。 ばあちゃんっ子だった僕はまるで魔法みたい!って、編み物に興味を示し、ばあちゃんに教わりながら編み物を始めたんだ。 モンブランみたいな風味のチョコをもぐもぐしながら、黙々とマフラーを編む僕。 ついでに瓶底メガネ。 傍から見たら、絶対、根暗丸出しだよね。 絶対に誰にも見せれない、知られたくない、僕の一面。

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