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第7話
俺と陽平くんの大人組みはテーブルでお喋りしながら初めてのリゴの組み立てに夢中。
理一は相変わらずフローリングに張り付き、レールを走る列車をガン見してる。
「理一、よく飽きないな。こっち来て一緒に組み立てないか?」
思わず、理一に声を掛けたが理一の視線は列車から離れない。
「うん。ねえ、これ、乗りたい」
はた、と俺の手が止まる。
「電車ならパパと一緒に良く乗ってるだろ」
正面の陽平くんがさらりと返す。が。
「ううん!この電車に乗りたいの!」
はい?と俺も陽平くんも気が抜けたというかなんというか。
「...無理だろ。そんなちっこい電車、乗れる訳ないだろ?」
「頑張って小さくなる!」
俺は思い切り唾を変なところに引っ掛けて、むせた。
「ち、小さくなる、て。大きくならなきゃ駄目だ、理一」
「どうして?」
「どうしてと言われても...あ!大きな男の子はモテるぞー!しろくま組のなんとかちゃんにも絶対モテるぞー」
いきなり仏頂面した理一が俺を向いた。
「なんとかちゃんじゃないの!れいなちゃん!」
「ああ、そうそう、それ、れいなちゃん」
理一がズカズカとやってくるなり、陽平くんの膝に勢い良く座った。
「パパ、なーに?これ?」
「これ?これはリゴブロック、こうして、色んな形に組み立てるんだよ」
「へー」
理一がレールを走る列車からようやくリゴブロックに関心を抱いてくれたようだ。
が、数分後には投げ出した。
「飽きたー!」
「飽きんのはえーな、理一。じゃ、人生ゲームするか?」
目の前の理一が首を傾げた。
「すごろく、てわかるか?」
「うん」
と、その前に陽平くんと俺はコーヒータイム。理一は陽平くんから渡されたマイボトルでりんごジュースタイムだ。
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