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第6話
三人でうちへと歩きながら胸が躍る。
理一をびっくりさせようとあらかじめリビングでレールを組み立て、電車を走らせておいたんだ。
「お邪魔します。ほら、理一も頭を下げて」
「おじゃまします!」
二人は頭を下げ、脱いだ靴は揃えるよう陽平くんに示唆され理一がかがみ、靴を揃えてる。
若いのにしっかりしてんなー、陽平くん。
「わあー!電車が走ってる!」
リビングで走る電車を指差し、理一が声を上げた。
思った通りの反応が嬉しい。
「見て見て、パパ!電車が走ってるよ!おうちの中なのに!」
「ホントだね...誠さん、高かったんじゃないですか?」
興奮しはしゃいでいる理一と打って代わり、陽平くんは申し訳なさげに眉根を寄せた。
「いえ、実は僕が欲しかったのもあるんで。子供の頃、欲しかったんですよね。親には買って貰えなかったんですけど」
あー、と陽平くんが思い出したように笑顔を見せた。
「わかります、それ。僕も子供の頃、トレーディングカードにハマってたんですよね。レアカードがめっちゃ欲しくて、いつも母親にねだってました、でもなかなか出なかったなあ。今なら好きなだけ買えるのかも」
「大人買い、て奴ですね」
「はい、箱買い」
互いに顔を見合わせてクスクス笑う傍らで、理一はフローリングに張り付き、レールを走る電車に釘付けになってる。
「有名だし、被ってるかもですけど」
先日のおもちゃ屋のビニール袋からリゴを取り出し、陽平くんに差し出すと、陽平くんが目を見開いた。
「わっ!リゴだ!持ってないです」
リゴの箱を両手で持ち、陽平くんの珍しそうな眼差しはリゴの箱にある。
「あと、これ」
人生ゲームを見せつけた。
「つい、やりたくて。子供の頃、兄の友人が持ってて、良くやったんです」
陽平くんが笑顔になり、あー!と声を上げた。
「懐かしいですね!」
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