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第11話
人参のグラッセ、胡麻のドレッシングを掛けたブロッコリーを添えた、豆腐ハンバーグの一皿に、まだ箸を使いこなせなさそうな理一を思い、洋風に盛り付けたご飯にポトフ。
ついでに作り置きしていた俺流のポテサラも添えたが、理一に野菜を摂らせたいから、と陽平くんはポトフもポテサラも俺の口頭から健気にメモを取っていた。
テーブルに並ぶ料理に、
「うわー!美味しそう!」
理一が声を張る。
「ナイフとフォークなら使いこなせるだろ?理一」
理一に尋ねると、
「ナイフはどっち?」
「右」
「右ってどっちだっけ」
「こっち」
保育士か、てな会話とリアクションな俺。
「パパが作ったんだよ」
敢えてそう言ったのだが、
「えー!うそだー!」
どっちの嘘かは聞くのはやめといたが、理一は案の定、人参を睨んでいる。
「甘くて美味しいよ、理一」
陽平くんが促すと、
「そう言って、おとなはうそをつく」
減らず口を叩きながら、恐る恐る、理一は人参を齧った。
暫く、無言で呆けている理一。
「どうした?理一」
「....今まで食べたにんじんとちがう.....」
「誠さんが魔法を使ったんだよ」
隣の陽平くんが理一に笑顔で声を掛けた。
「まことちゃん、まほーつかいだったんだ!?にんじんが甘くておいしい!変なの!」
変なの、は一言、余計だが、人参を喜んで食べ尽くす姿に嬉しいに越したことはない。
ハンバーグもお気に召したようだ。
「にしても、お箸、て、どう教えようかな、て」
「ああ....確かに。俺たちもどう教わって使いこなせるようになったんですっけ」
天井を見上げ思い起こそうにも互いに思い出せない。
暫く、連絡してなかったが、うちの親に聞いてみるか、と思案した。
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