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第20話

「痛ッた……」 瞼を動かすと頭に響く。 ここはどこだ? 溶暗していた意識が浮上し、視界に像を結ぶ。 第一印象は荒廃した部屋。窓には羽目板が打ち付けられて薄暗い。 隅にクイーンサイズのベッドが鎮座し、コンクリ剥き出しの床には乱痴気騒ぎの名残りを留め、空き缶や空き瓶が転がっている。 鼻腔を突くアルコールの匂いに胃が収縮、吐き気を催す。続いて違和感に気付く。 身を捩って確かめれば、後ろ手に手錠をかけられていた。 「ようやっとお目覚めか、ねぼすけ」 野卑な声に顔を上げる。 綿がはみ出たソファーに股を開き、男がふんぞり返っていた。傍らに日本刀がおいてある。柄に双頭の獅子をあしらった、珍しいデザインだ。 ツーブロックに刈り込んだ黒髪、切れ上がった鳶色の瞳。年齢は二十代前半だろうか、若い獅子のような威風を従えている。 「んっ、む!?」 男がおもむろに腰を浮かせ歩み寄り、ピジョンの顎を掴んで口に指を突っ込む。 「かはっ、何す、やめ」 口の中を蹂躙される息苦しさに悶える。 構わず頬の内側の粘膜をこそぎ、唾液に塗れた指で歯茎の裏側と舌をまさぐる。 「げほげほっ」 「舌噛んどらんか心配したけどヘイキみたいやな」 漸く気が済んだと見え、無造作に顎を突き放す。 かきまわされた不快さにえずき、一通り咳き込んでから顔を上げ、ピジョンが訊く。 「お前、どっちだ」 ゴースト&ダークネスは双子だ。ならば目の前にいるのはそのどちらか。 ソファーに腰を沈めた男が嫌味ったらしく頬杖を付く。 「あててみィ。正解者にはええもんやる」 「ろくなもんじゃないだろ」 「十秒やったる」 「参加するって言ってないぞ」 「二択ならまぐれで当たる。おどれの悪運に賭けてみィ」 ゴースト&ダークネスの片割れが悠然と足を組み替え、重厚なブーツの爪先を揺らす。 「いーち、にーい、さーん、しーい……」 マイペースにカウントダウンする男を前傾姿勢で忌々しげに睨み返す。 落ち着け、俺。 目を瞑り深呼吸、平常心の回復と現状把握に努める。 ライフルは見当たらない。没収された?どうやらここはゴースト&ダークネスがねぐらにしている廃モーテルの一室らしい、失神中に運ばれてきたのだろうか。返す返すも死角への注意を疎かにした失態が悔やまれる。 「ごーお、ろーく、しーち」 そうだ、子どもたちは? 「きゅーゥ、じゅー」 ざっと見回したところ子どもたちの姿はない。麻袋も運び込まれてない。コイツらの名前なんてどうでもいい、子どもたちの居場所を聞け。 「時間切れやな」 「ノリ悪いなージブン」とぼやき、興ざめして足をおろす。開いた足の間に前のめり、男が名乗りを上げる。 「特別に教えたる。俺はゴースト、あっちが弟のダークじゃ。二人合わせてゴースト&ダークネスっちゅーダサい稼ぎ名で呼ばれとる」 ゴーストが親指の背でさした椅子にはダークが後ろ向きに跨り、返り血が付いたメリケンサックを嵌めたまま、酒をラッパ飲みしていた。 手錠が外れないかと手首を摩擦する傍ら、毅然と顎を引いて子供を拐かす外道に非難を飛ばす。 「ボトムの孤児院から子どもをさらっている悪党だな。他の犯行も全部お前たちの仕業か」 「せやで、今回みたいに大掛かりなんは初やけど。原則ダークと二人じゃ」 「報酬を山分けするのが惜しくなって仲間を殺したのか?」 「せやな、用済みやし」 「腐れ縁ははよ切らな」 ゴーストの独り言にダークが相槌を打ち、やんちゃな目配せを交わす。 堂々と開き直る双子に相対し、ピジョンの胸に沸々と怒りが滾る。 「なんでこんな事するんだ。子供を食い物にしてなんとも思わないのか」 「生きるにはカネがいる」 「遊ぶカネも欲しいしな」 「うまいもん食うにもええ女抱くにも」 「子供はええカネになるさかいに」 「製薬会社の献体に変態のペット、引く手あまたや」 「だからって」 「可哀想か?優しいな」 ソファーの背凭れに腕を回し、伸びをするライオンさながらふてぶてしく宣言するゴースト。 「ゴースト&ダークネスは他人様のことなんぞどうでもええ。いたいけなガキかて憎たらしい大人かて|金《ヘル》に替えて|地獄《ヘル》に落とすんが亡霊と暗黒の|生計《たっき》じゃ。かわいそかわいそするんは暇人のボランティアにまかせとけ、こちとら外道働きで荒稼ぎしてせいぜい面白おかしゅー暮らすねん」 「はらわたから腐ってる。兄弟で共食いしてろ」 ダークが腕を振り抜き、中身がまだ残る酒瓶を投擲。 咄嗟に突っ伏すピジョンの顔の横、壁に激突した酒瓶が爆ぜ、鋭利な破片が頬を切り裂く。 「!ッ、」 斜めに走った傷口から血が盛り上がり、モッズコートに点々と伝い落ちる。 「ナマ言うなや、捕まっとる分際で」 ダークは暴力を振るうことにまるで躊躇いがない。シャツの下で跳ね回る鼓動をひた隠し、もう一度聞く。 「子どもたちは無事なのか。まだ売ってないだろ、このモーテルにいるんだよな。頼む、顔を見せてくれ。みんな無事だってわかれば……」 「どないするん?助けるんか」 「怪我がないか知りたいだけだ。先生やシスター達も心配してる」 揶揄と嘲笑を浴びせられ、奥歯にぐっと力をこめる。 ゴースト&ダークネスが子ども達を丁重に扱うとは考えにくい。 今の自分と同じく、否、それ以上に酷い仕打ちを受けてないか不安が募り行く。 その時だ、かすかな嗚咽がどこからか流れてきたのは。 子供特有の甲高く水っぽい調子の声。 聴覚を研ぎ澄まし、息を殺して音の出所を探る。 答えはすぐわかった、壁の穴だ。 ピジョンがうずくまる部屋の隅、背中をもたせた壁の下方に穴があいている。 この声は…… 「チェシャか、みんな無事か!?わかるかピジョンだよ、教会に居候してる……こないだシーツ干したろ」 「え……なんで」 返事をもらい、途方もない安堵が心を溶かす。 こみ上げる涙を瞬きで追い出し、穴へと這いずる。 「助けにきたんだ。皆は?」 「うん、みんなここにいる。ハリ―とシーハンも」 「怪我してない?」 「してる子もいる。袋の上からボコボコにされたの」 「なんだって……」 「たいしたことないよ、かすり傷。そういうのなれてるから」 目も眩むような怒り。 人でなしとは思ってたけど、そこまで腐っていたとは……助けてやるんじゃなかったと後悔する。 ピジョンの沈黙をなんと解釈したのか、チェシャが無理に笑ってとりなす。 「私たち人間のひとに嫌われてるから表を歩くと石投げられるとかしょっちゅうだし。うんと打たれ強いの、これ位へっちゃら。私だって教会来る前はひどかったもん」 一体どんな顔をしているのか、壁に遮られて見えない。チェシャの声が明るく弾む。 「神父様やシスターは?一緒?」 「…………」 「なんで黙るの?いるんでしょ」 「先生とシスターは外で待ってる、皆を助ける準備をしてるんだ。怖いだろうけどもうすこしだけ頑張って、俺もすぐ行くから」 「すぐ行くって……捕まってるんじゃないの、さっきすごい音したよ、バリンて。いじめられてる?」 「ちがうんだ、ちょっとドジ踏んで……心配しないで大丈夫だから、それにもし俺が捕まったって先生たちがいるから安心だよ、君たちの先生はすごい強いんだ、ケチな誘拐犯なんてたちまち懲らしめてくれる」 「だよね……」 「チェシャたちは縛られてるの」 「ううん、檻に閉じ込められてる」 「檻?」 「でっかいの。犬を入れるみたいな。2・3人に分かれて」 手が自由なら壁を殴り付けていたところだ。胸に広がるむかむかを押さえ、さらに聞く。 「近くに誰かいる?」 「シーハンとハリ―……ハリ―は寝てるわ、神経図太いのね」 「泣き疲れたんだよ、そっとしといて。シーハンと話せるかな」 少し間をおいて、か細い声が漏れ聞こえる。 「ピジョンさん……」 「大丈夫?どこも痛くない?怖かったろうね、でも安心して、すぐ終わるから。皆君たちを助ける為に一生懸命やってる、もうそこまで来てるんだ、すぐ孤児院に帰れるよ。一人も欠けずに……シスターたちがとっておきのスープを作って待ってるんだ、おかわり自由だって、よかったね。お腹いっぱいになったらぐっすり寝れる」 「妈妈に会いたい……」 「会えるさ」 「ヴィクは元気?」 「シスターたちと待ってる、君のことすごい心配してた。蛇いちご摘んでたんだろ?」 「うん」 「みんなで分けっこするなんて偉いね、俺なら独りじめしちゃうよ」 「今度とってあげるね」 「本当かい、嬉しいな」 手が使えないならせめて口先だけでも励まそうと、殊更に明るくおどけてみせる。シーハンの啜り泣きが再開、おずおずと聞いてくる。 「私たち売られちゃうの……?」 「まさか」 「痛いのやだ……先生ぇ……」 「諦めちゃだめだ、必ず助けにいくから」 動揺は伝染する。隣部屋から聞こえる嗚咽が大きくなる。 無力感を噛み締めて俯くピジョンをよそに、ゴースト&ダークネスがわざとらしく話しだす。 「出荷検査かったるィの~」 「せやかてリトルブラザー、変態はうるさいんじゃ。新品か中古かで穴の値段大違い」 「処女膜のあるなしよか抱き心地気にしィや」 「待てよ」 会話の理解を脳が拒む。双子の視線がピジョンに立ち返る。嗜虐の愉悦を潜めた二対の眸。後ろ手に食い込む手錠を鳴らし、膝立ちの姿勢で訴える。 「あの子たちに手を出すな」 「なんや?目の前でしてほしいんか?ええで~好きなの指名せい、股おっぴろげたるわ」 目と鼻先にしゃがみこんだダークがニヤ付く。 ピジョンは喉元までこみ上げた言葉を飲み込み、スワローをまね、せいぜいふてぶてしく笑ってみせる。 「小便臭い針穴を突付くだけじゃ退屈だろ」 「ほならお前がかまってくれんの」 ゴーストが正面に立ち塞がって聞き、ピジョンは伸びた前髪に表情を隠す。 ごめんスワロー。 俺がこれからすることを知ったら、きっと軽蔑する。でもこれ以外に方法が浮かばないんだ他にどうしたらいいかわからないんだ、俺が馬鹿でドジで間抜けなせいで全部おじゃんだ、ライフルを取り上げられて手錠噛まされて他にどうしたらコイツら足止めできるか本当にわからないんだよ、お前ならきっともっと上手くやるよな俺よりずっと要領よくて知恵が回るから 「どうせなら、俺と遊べよ」 ピジョンは、ふしだらに笑った。 「へー。何して遊ぶん?」 「なんでも好きなこと……痛くされるのは慣れてるから、酷くしてもかまわない」 震える声を押さえ、どうにか滑らかに紡ぐ。 こんなこと言いたくない。嫌だ。言うしかない。双子を部屋から出て行かせるな、隣に行かせるな、できるだけ長く足止めしろ。 ピジョンの頭にはもはやそれしかない、ケチなプライドや羞恥心は一切合切かなぐり捨ててゴースト&ダークネスを見上げる。 「いっちょ遊んだるかビッグブラザー」 「せやなリトルブラザー」 「手錠は」 衝撃が来た。 「のぼせんなカス、口とケツだけ使えりゃ用足りるわ」 ダークに頭を蹴飛ばされた。 瞼の上が切れて視界が赤くかすむ。 手が使えない代わりに鼻梁を伝った血をなめ、双子の足元にゆっくりと這いずっていく。 フェラチオするのは初めてじゃない。 スワロー以外の人間にするのは二度目だ。 前の時はスワローが一緒だった、アイツが手を繋いてくれた。 今は独りだ。 「くっ、ンっ、はっ」 独りぼっちだ。 ひとりでもできるさ。 血を飲んだせいで胸焼けする。 ゴースト&ダークネスはニヤニヤしながらただ立っている、自分からベルトを外しジッパーを緩める気はなさそうだ。 仕方なく、口を使ってジッパーを下ろしにかかる。後ろ手に手錠を噛まされた状態から上体を立て、顔を右に左に傾げ、ジッパーのフックを噛んでずらしていく。 が、上手く行かない。 「鈍くさいのォ」 ダークが足踏みして茶化す。 ピジョンはゴーストの股間に顔を埋め、唇を擦り付け、ジッパーを咥えようと頑張る。 何も考えるな、心を無にしろ。 余計な事は考えるな、全部忘れろ。 ダークが鼻を鳴らして踵を返す。目指すはドアの方、隣の部屋。 「話にならん」 「!待て」 手錠がうるさくガチャ付く。 ゴーストの股間の膨らみから顔をどけ、伸び縮み這いずってダークに追い縋る。 床と擦れたコートがはだけ、緩んだ襟ぐりから痣と擦り傷だらけの鎖骨が覗く。 ドアに向かいかけた途中で立ち止まり、うっそりとダークが呟く。 「ジッパーも下ろせんくせに」 「まだこれからだろ」 スワローのやり方を思い出せ。 他の男にちょっかいをかける時に、俺を妬かせる時に、どんな風に振る舞っていたかよく思い出せ。視線の流し方、唇の開き方、俺の欲情そそるアイツの媚態…… 自分を殺し、心を殺し。 スワローの首の傾げ方をまね、スワローの口調をまね、ピジョンレッドの瞳を淫蕩に揺らして去り際の男を誘惑する。 「一人じゃ足りない。二人がかりでしてくれなきゃ」 コートをわざとずらし、しなやかに反る首筋を見せるのも計算の内。続けてゆっくりと瞬き、尻軽のように囁く。 「三人でやりたいんだ。戻ってきてよ」 「おねだりされちゃかなわんなあ」 ダークがのらくら大股に戻ってきて、すれ違い際ピジョンの後ろ襟を引っ掴み、ゴーストの前に投げだす。 そしてまた、ジッパーを下ろさせる。 「はぁ、ふあッ、く」 「アホくさ、股ぐらに息かけられてもこそばゆいだけや」 ゴーストが片手でピジョンの頭を押さえこむ。膂力で首がもげそうだ。 「もうちょっとだから……」 「しゃあないな」 ゴーストがジッパーの上をほんの少し下げ、とっかかりを作る。ピジョンは窄めた舌先を差し入れ、じれったげにジッパーを引き下げていく。 「オーラルセックス好きなん?」 「好き、だ。はやくほしい」 これは俺じゃない、こんなの俺じゃない。 凄まじい生理的嫌悪に胃がしこり、罪悪感で心が潰れる。 ごめんスワロー、許してくれ。仕方ないんだこうするしか、だって他に方法ない。 瞼の裏にチラ付く弟の残像へ謝罪をくり返し、したくない本音とするしかない状況のせめぎあいを断ち切る。 「はやくしゃぶりたい」 「たんと食えや」 こみ上げる涙と洟水を我慢し、必死に演技を継続。 後ろ手に手錠を噛まされた不自然な前傾姿勢から、大層苦労してゴーストの下着をずらし、萎えたペニスをひとなめする。 「んッぐ」 強烈なオスの匂い、生臭い味。吐き出したい衝動をこらえ、寝かせた舌でおずおずと唾液を塗していく。 鈴口から迸り出たカウパーと唾液がまざりあって、青臭さにむせる。 「屋上からバンバン撃ってきた時はどんな凄腕かあせったけど、そーやっとるとただの変態やな」 「かはッ、は」 ダークが小さく笑い、ピジョンの鼻を摘まんで無理矢理口を開けさせる。 「どないした?何か言いたそうやな」 「言いたいことなんて……」 「遠慮せず言ってみ、ほれ。ジブンが撃ちながらおっ勃ててたド変態やて認めてまえばスッとすんで」 ダークにけしかけられて知恵を絞る。何て言えば双子が気に入る、どういうリアクションをすれば双子が喜ぶ、一分一秒でも長くこの場に引き止めておける……。 答えは明白だ。 赤黒いペニスをちゅぱちゅぱ吸い立て、右に左に顔を傾げて挑発的に舐め上げながら男たちを仰ぐ。 「俺、ッは、引鉄引きながら勃起してた、変態で、淫乱の、ホントはずっと、ふぁンっあ、スコープ見ながら、ぁっんぐ、アンタたちとヤりたくてしかたなっ、んぅっぁは、カラダむずむずっ疼いて」 唾液を捏ねる音が耳を犯す。 どうしようもない惨めさと死んだ方がマシな恥ずかしさを持て余すうちに頭が弛緩し、ペニスをじゅぷじゅぷ頬張りながら内股で切なげにもぞ付く。 「撃ちながらイッてもうたんか、恥ずかしいやっちゃ」 「イッてな、ぁっんぐ」 他の奴のモノ。 スワローじゃないペニス。 汚い気持ち悪い吐き出したい許して限界だ、やめるな馬鹿自分を殺せできるだろそれ位、ゴーストのペニスは太くて固くて亀頭が張っている、それを口に含んで夢中で舌を絡める、苦いカウパーが咽喉を焼いて吐き気が膨らむ、顎が涎でぬる付いて気持ち悪い、これはスワローのだスワローのペニスだ俺は今スワローにフェラしてるんだ大丈夫吐かないまだイケる 裏切り行為に募り行く後ろめたさが背徳感を呼び覚まし、口の窪みに溜まるカウパーの味が一層苦みを増す。 「ふぁ、ンむ」 酸欠になる寸前で抜き、息継ぎしてからまた咥え、膝立ちの姿勢で奉仕する。 ピンクゴールドの前髪がめちゃくちゃに乱れ、朦朧としたセピアレッドの目とだらしなく蕩けた顔が露出。 「ホンマは狙撃と同じタイミングで下半身の鉄砲からドピュドピュ撃っとったんちゃうか」 「!?んぅ゛ッぐ、んぅ゛ッん゛」 ダークが残忍に嘲笑い、ピジョンの後ろ髪を掴んで口をこじ開ける。そこへすかさずゴーストが挿入、スピードを上げて喉の奥を突く。 前後挟み撃ちのイマラチオ。 「フェラチオは下っ手くそやけど喉マンコはええ感じに締まる」 「あとで使わせてやビッグブラザー」 敏感な喉奥が収縮、剛直を締め上げる。 ダークが後ろ髪を掴んだまま乱暴に前後させ、ゴーストは抉りこむように腰を突き入れ、唾液の粘度が増した口腔を凌辱する。 「んッ、ぐ、ぁぐ、んぅっ、ぁっんっ」 口の粘膜と喉の粘膜を同時に犯す剛直の鼓動が、性感の目覚めた下半身をずくんずくんと打ちのめす。 苦しい。死ぬ。スワローごめん、お前以外に口を使わせた。 酸欠で明滅する意識の中、無意識に視線を下ろし絆の証を捜し求めるものの、ドッグタグが見当たらず目を見開く。 「顔真っ赤やでコイツ、そろそろ抜かな死んでまうんちゃうか」 「ええやん別に」 「よかないわ、屍姦じゃ勃たん」 「生肉のほうがええもんな」 「そーゆーこっちゃ」 口に詰め物をされて苦しい。体積がまた膨らむ。 「!~~~~~~~~~っは、がはがはっ」 意識が途切れる寸前にペニスが引き抜かれ、激しく咳き込むピジョンの正面にダークが立ち塞がる。 「今度はこっちや、変態スナイパーさん」 休む暇すら与えられない。兄と立ち代わり前に出たダークが、ピジョンの前髪を掴んで動かす。 「かはっ、けはっ」 再び萎えたペニスを頬張り、鈴口から根元、裏筋まで丁寧にしゃぶっていく。 背後に立ったゴーストが腋から手を差し入れ、モッズコートを脱がしにかかる。 「きったないコートやな」 「やめ、ふぁ」 「どないしたん、続けろや。可愛い弟が萎えてまうやろ」 「さわ、な、や」 性急な衣擦れの音に続き、意地悪い手がシャツの上から乳首を擦り立てる。 「ぁっ、ふぁっ、ンっく」 「感度バツグンやんクリ乳首」 根元をキュッキュッと搾り立て、乳首をプクリと勃たせる指遣いに目を閉じ現実逃避を急ぐ。 今咥えているのがスワローのモノだと無理矢理にでも思い込みばらばらに砕け散りそうな心を繋ぎ止めるものの、咽喉の奥を突きまくられ舌遣いが追い付かない。 「イマラチオでおっ勃とんのか、ホンマ変態スナイパーやな」 「~~~~~~~~~~~~~っァあああ」 何か言わないと 機嫌をとらないと イマラチオの勢いに浮く前髪の奥、生理的な涙がしめやかに膜を張る目を苦痛に歪め、ペニスが退いた息継ぎの合間に口走る。 「俺ッ、はぁっかはッ、変態、ドエムのっ、引鉄引くたびホントはイッて、ドピュドピュしこってイきまくってはぁっあ止まんなっ」 行かせない。イきたい。ここで止めないと。出したい。俺なんか汚れてもいい、勝手に堕ちればいい、何もできないならせめて体を使って引き止めろ 「っ、出る」 粗野な手が力ずくでピジョンの頭を引き剥がすと同時、大量の白濁を浴びせられた。

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