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第20話※
理月は意識が朦朧とする中、ずっと将星の匂いを感じていた。気付けば、理月は自分の部屋のベッドの上にいた。先程よりは幾分意識はハッキリしてきたものの、体の熱は相変わらずで、理月の中心は痛いほど張り詰めていた。
不意に将星の顔が真正面に現れ、
「薬、飲んどけ」
そう言って、口移しに水と抑制剤らしき錠剤を飲ませられた。
「将星……早く……」
そのまま将星の首に腕を回すと、更にキスを強請った。
「ん……分かってるからそう、焦るな……」
将星は理月の髪を撫で、理月の破れたシャツを脱がせた。
首筋に将星の唇の感触を感じたと思うと、きつく吸われて痕を残された。その唇は首から鎖骨へ降りていき、胸の中心に辿りつくと、理月の乳首を口に含み強く吸った。
「あっ……! あぁ……っ!」
それだけで、射精しそうになる。
将星は理月の左手首にあるリストバンドを外した。
「俺が噛んだ痕か? こんなハッキリ残ってるんだな」
そう言うと、愛おしそうにそこに唇を落とした。
途端、ジワジワと熱を帯びていた手首の噛み跡が、更に熱くなるのを感じた。
(熱い……手首が火傷したみてぇに、痛くて熱い…………)
いつの間にかデニムが脱がされており、下半身の窮屈さから解放され、幾分気持ちが楽になる。
将星が一度体を起こし、着ていたTシャツを脱ぐのが目に入る。右肩から手首にかけてトライバルのタトゥーは健在で、胸にある狼の顔がこちらに睨みを利かせている。
そのまま再び体を密着させてくるのかと思ったが、不意に将星はベッドから降りた。
一瞬でも離れたくないのに、そう思うと、脱ぎ捨てられた将星のTシャツをおもむろに掴み、それを鼻先に寄せると将星の匂いを嗅いだ。だが、そのTシャツを将星によって取り上げられてしまい、名残り惜しげに理月の手は空を彷徨う。
戻ってきた将星の手にはプロテクターが握られており、無言で理月の首に皮のプロテクターを装着した。
「しょう、せい……早く……お願い……早……く……!」
既に理月の頭には将星に抱かれる事しかなかった。早く奥まで突いて、熱い精を[[rb:子宮 > おく]]に注いで欲しい。
自分に覆い被さる将星を見れば、口にゴムのパッケージを咥え封を噛み切ろうとしていた。それが目に入ると理月は将星が咥えているゴムを手で払い退けた。
「んなもん……い、らねえよ…………!」
「終わったらちゃんと、アフターピル飲むって約束するか?」
理月は将星の言葉に何度も頷くと、再び将星に唇を塞がれた。
互いの熱い舌が絡まり合い、将星の舌は生き物のように理月の口内を犯していく。時には舌ごと吸われ、時には舌先を軽く噛まれた。
頭の片隅で、こんな醜態を晒している自分に嫌悪を抱いている。
やめろ、みっともない姿を晒すな、そう自分を非難しているのに、体は言う事を聞いてはくれない。オメガの本能が目の前の将星を求めている。どんなにプライドが高かろうと意思が強かろうと、そんな思いはオメガの強い本能にあっさりとへし折られ、理月ですら逆らう事はできなかった。
それは、今まで離れていた分の代償が、この時に爆発してしまったようだった。
(もっと……もっと…………)
強請るように理月は舌を差し出せば、将星に丸呑みされるのではないかと思うほど、噛み付く様な激しいキスをされた。
将星の右手は理月の中心に手がかかり、緩く扱かれた。
「一回イっとけ」
そう言って将星は手を早めた。
「あっ……!あっ……!しょ、せ……イ……く……っ、イ、く……!」
理月はあっという間に達してしまい、自分の吐精したものが将星の顔にまでかかった。
将星は顔にかかったそれをペロリと舐め上げた。
「んなもん……舐めるなよ……汚ねえ……」
「おまえから出たもので汚いものなんて、何一つねえよ」
将星は薄っすらと笑みを溢し、理月にキスを落とした。
当然、一度出した程度で理月のヒートは治るはずはなく、理月の中心は再び熱を持ち始める。
「早く……それ挿れてくれよ…………」
理月は右足を将星の股間に当てると、その硬さにギョッとし、
「はっ……すげぇ……ガチガチ……」
それが自分の中に入ってくるのだと考えると、体がブルリと震えた。
「やめろ……ばか」
そのまま足首を掴まれ、その足すらも口元に寄せると指の間に舌を這わせてきた。
「ん……っ、んっ、はぁ…………あぁ……や、やめ……ろ……」
指の間を舐め終わったと思うと、今度は指の一本一本を口に含み始めた。
「や、だ……」
ゾクゾクと理月の体は快感で身震いが止まらない。足を舐められる事がこんなにも気持ちいいものだと、理月は知ってしまった。
ひとしきり舐め上げた将星は、いよいよ理月の後孔に触れた。それだけで、理月の体がビクリとしなった。そして将星の太く長い指が後孔に侵入してくるのを感じ、すぐに射精感が込み上げてくる。
「あぁっ……っ!!」
グチュグチュと濡れた卑猥な音が理月の耳をも犯していく。
そこはすでに女性器のように濡れており、将星の指二本をすんなり飲み込んでいく。ヒート中のオメガのそこは、慣らさずとも迎え入れる準備はできている。それでも将星は、執拗に指で中をかき回した。
「しょうせぇ……早く……挿れて……」
懇願の目を将星に向けると、不意にその指が抜けていく。
「んあっ……っ!」
「もう……限界……」
膝裏を抱え込まれたと思うと、将星の中心が後孔に当てがわれた。先が入ってきたと感じた瞬間、ズブリと一気に奥まで挿入されてしまった。
一瞬、ひゅっと呼吸が止まり、チカチカと目の前に火花が散ったと思うと、理月は入れただけで吐精してしまった。
「あっ、あぁ……っ!!」
あまりの苦しさに、理月は将星の背中に爪を立てた。
(ふ、深い……奥……まで、届いてる……)
将星に目を向ければ、獣のような目を自分に向け、荒く乱れた息を必死に整えているように見えた。その将星の表情に自分は食い殺されてしまうのではないかと思った。
「動くぞ……」
最初はゆるゆるとゆっくりとしたものが、次第にその動きが速くなる。
「あっ、あっ……い、いい……っ!もっと……もっと奥までくれ……よ……!」
もっと奥まで欲しくて、無意識に理月は両足を将星の背中に巻きつけた。
結合部からは理月から溢れた水音と将星の動きが連動し、酷く卑猥な音に聞こえる。
「理月……理月……」
将星は何度も耳元で何度も自分を呼ぶ。その度に、理月の中で将星を締め付ける。
不意に体が反転し、今度は後ろから突かれた。
「ひっ……!」
先程よりももっと奥まで将星のものが届いており、降りてきている子宮の入り口に将星の先が、それをこじ開けようとしている。
「だ、だめだ……それ以上は……お、かしくなる……」
「ここ……これ、子宮だろ……?この奥に俺のぶち撒ければ俺のガキ孕むんだよな?」
子宮の入り口を将星はトントンと何度も突いた。
「や、め……!」
快感の波は理月をずっと襲い続けている。それはある意味恐怖にすら感じた。
(気持ち良すぎて……こ、わい……)
生理的な涙なのか、恐怖から涙なのか、理月の目からは涙がポロポロと溢れ、小刻み震え始めた。
「こわ、い……しょ、せい……や、だ……」
理月のその姿に将星はハッとすると、
「悪かった……理月、優しくする」
そう言って、後ろから覆い被さり理月の顔を向けさせると優しくキスを落とした。
将星は言った通り動きを制御し始めたのだが、そうなると今度は物足りなさを感じた。
背中に将星は自分のものだと知らしめる様に、赤い痕と噛み跡を残していく。甘噛みをされる度に、理月の体はビクビクと反応する。
「理月……好きだ、好きだ……理月……」
その言葉と共にプロテクター越しに首筋を強く噛まれた。
「あっ……」
ビクッと理月の体が大きく跳ね、理月は吐精した。
「好きなんだ……もう、離したくない……」
そう言って後ろから理月はキツく抱きしめられた。
(将星……)
唐突な告白に理月は頭が混乱し、言葉が出なかった。嫌な気持ちは微塵もない。寧ろ嬉しいと感じている。だが、自分も将星を好きかと問われれば、それは分からなかった。将星の強いアルファのフェロモンに惹かれているだけなのではないか、将星もまた自分のオメガの強烈なフェロモンに当てられているだけなのではないのか、そんな風にしか思えなかった。
理月は何も言う事ができず、誤魔化すように将星にキスをしたのだった。
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