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第5話
バスローブを着て、もろもろの準備をされ、リオは寝室に通された。
シンプルな内装で、天蓋カーテンのあるキングサイズよりもさらに大きなベッドだ。部屋のほとんどを占めているが、ここはローエンの居室ではなく、ゲストルームだったはずだ。
「……ッ……ん」
横になってお待ちくださいとも言われたが、そうするわけにもいかない。とりあえず、正座をしつつ待っていたが、ローエンはなかなか現れない。
不安になって首元を触ると、リオの手が胸元で止まる。指輪がない。
「えっ、……え、え、ど、どうしよう……ッ」
必ずつけろとマーリンに言われていたので、リオは焦った。ない。どこにもない。
指輪が見当たらない……。
記憶を辿るとたぶんあのときだ。
浴槽からでてから使用人に囲まれて、洗浄魔法をかけられ、あちこち触れられた挙句、尻にアナルビーズのようなものを入れられてパニックになったせいだ。
いまさらリングを探しに部屋をでるわけにもいかないし、それよりも尻の中がひくひくと痙攣して、身体がおかしい。すでに射精したい気分で身動きすらできない。
もじもじと折った膝を擦りあわせ、リオはベッドの上で干上がった茹でタコのように真っ赤になった。
前かがみになって身体を丸め、きゅうと股をしめつけられるように膝を閉じるが、痺れが頭をおかす。
「……あ、……ッ」
太ももをちょっとずらすだけで、尻の中のあらぬところを押し潰し、ピリッとした痺れた感覚が広がる。
……どうしよう。お尻の中がムズムズする。しかもおれ、勃起してる。
球体はいくつも繋がっていて、ちょうどいい塩梅でしこった部分にあたる。
気のせいか、ぬるぬるは自分の中から出ているんじゃないかというほど、とめどなく尻から出てくる気がした。
リオのへこんだ乳首はぴょこっと顔をだし、身体は燃えるように火照り、尻の中のボールはちょっと動くだけでもゴリゴリと内壁を動く。
「んあっ……あっ、だめ、……んん」
シーツを汚すわけにもいかず、リオはくてんと背中にあった繊細な刺繍が縫いつけられたクッションに身体をあずけた。
……も、もう限界だ。
我慢できない。そう思って、右手でそっと熱をもった頼りない棒をさすった。
ゴシゴシと擦ると、ぴゅぴゅっと精子が勢いよく飛び出している。
「あっ……ん……、きもち……い、い」
尻のほうに手を伸ばすと、入り口のほうは厚ぼったく膨らんで、ぬるぬると濡れていた。ボール状のものが、かなり奥までいって、うねうねと中で動いた。
「……ッ」
四つん這いになって脚を大きくひろげると、ペニスから先走りの汁がダラダラと垂れて、腹にまで小さな水たまりをつくっている。
自分が動くたびに前立腺を刺激してくるので、どんどんと腰に熱が溜まっていく。
「あっ、あっ、あっ、いきそ……、だめだめ……、い、いきたい……」
本能的に手が下腹部に伸びて、ぬるついた指を折り曲げて、根元から吸いつけるように扱いた。絶頂まであともうすこしだ。
リオの視界に星がみえそうになって、ラストスパートにたどり着く。ふと視界に男の姿が目に入った。あっと思ったとき、リオの身体がびくびくと痙攣した。
「あ、あ、あ、あー……ッ」
「……どうした。終わりなのか?」
黒の眼帯をつけ、バスローブを羽織ったローエンがいた。
ベッドのそばに立ち、精悍な身体つきをして立っている。こちらをじっと眺め、リオの肢体は力がへなへなと抜けて、ぼんやりとその顔を見上げた。
横に愛するローエンがいる。ぼうっとしながらそう思った。
「あ……ロー……」
ローエンだと無意識に口からでそうになった。
革紐に黒の眼帯をつけて、左目を隠して、澄んだ濃い緑の右目が自分を見ている。
まえよりもどこか大人びてみえるローエンに、十年という月日を感じた。
「すまない。書斎で面会リストに目を通して遅くなってしまったんだ。しかし、先に始めていたのは、きみが初めてだな」
遅れてきたことを詫びながらも、くっと楽しげに笑われて、その表情がなつかしい。
リオの胸がキュッとしめつけられた。
どうしてだろう。胸が苦しくて、素直に再会をよろこべない。いままで自分にしかむけられていなかった笑顔がむけられているせいだろうか。
自分の知っているローエンはいつも仏頂面で、気難しくて、他人に笑顔をむやみにみせない。
のぼせ上がった熱がすこしだけ引いて、ぱっと汚れた膝を閉じて、よたよたとしながらも身体を起こした。元の正座に戻るとぴくりとローエンの眉がかすかに動いた気がした。
「……? あ、あの……、す、すみません……」
「いや、すまないのはこちらだ。もう一度、さきほどしていたものを見たい」
えっ……と戸惑うがローエンは口元に微笑を浮かべてなにも言わない。
あまくねだるような声はまるで別人のようだ。火照った身体が疼く。
リオはおずおずと脚を開いて、指を曲げて力をなくしたなさけないペニスを上下に扱いた。
「……いッ……」
ゴシゴシと擦ったが、ペニスはすでに柔らかくなってしまい、なかなか硬くならない。
ローエンにみられているせいもあって、今度はすぐにイケなくなった。
「つらそうだ。そういうときは尻の中のものを刺激すればいい。すぐに気持ちよくなるはずだ」
耳たぶを食まれながら、低音ボイスが心地いい。
「……っ、……あっ」
ローエンはリオをうつ伏せにして、尻にあった丸いものを最奥に押し込んだ。
「あ、ああっ、ぅ……」
腹にあった球体が連続してしこった部分を押して、その刺激にリオは身をくねらせた。がくがくと膝が震える。
「まだつらいか? それならこれを抜けばいい」
「えっ、……あ、あ、ああああぅ」
ローエンが尻から伸びた紐を一気に引いた。ずるずると尻から球体が次々とでて、腹から出ていき、リオはその衝撃であっというまに達してしまう。
ぬるぬるとした体液が太ももを伝って、シーツを濡らし、小さな染みになって落ちた。
「……あ、……あ……ッ……、うぅ」
はあはあと息を乱し、リオはピクピクしながらぐったりと仰向けになった。すでに腹の中はきゅんきゅんとしていて、中でなんども達している。それでもまだもの足りない。
腹の奥を、深く貫いて欲しくてたまらない。どうしてか頭の中はそればかり考えてしまっていた。
「これは水の魔法石をつかっているんだ。腹の中を潤してゆるめるそうだが、もうその必要もないくらい柔らかくなっているな」
「……ッ……あ」
仰向けに転がされ、リオは間近にローエンの顔を眺めた。
「きみの名はリオか」
「は、はい。……そうです。他のものたちは、今夜は指名客がいっぱいで……、その、おれしかいなくて……、す、すみません」
まだ身体がジンジンしながらも、リオは頭を下げた。ローエンはふうんと興味なさげに返事を返し、バスローブを脱いで、引き締まった身体でリオに覆いかぶさる、ぎしりとベッドが軋み、バスローブが肩からずり落ちて、皮でもむくように、ローエンがやさしい手つきで脱がしてくれた。
「きみの身体に触れされてほしい」
「は、い……」
纏っていたローブを横において、身体がさらけ出された。リオの乳首は陥没し、身体だけは変わらず色気はない。
「これは?」
「……あっ」
下腹部に手をあてられ、リオが隠そうとすると、手をつかんで止めた。ローエンが興味ありげに視線をむけて訊いてきたのはあの淫紋だ。
くっきりと下腹部に刻まれ、羽の生えた子宮が幾層にも重なるハートを囲んで、濃く黒色で植えつけられている。
「あ、あの……。その、えっと……」
まさか宮廷魔術であるマーリンにつけられたとは口が裂けても言えない。ローエンは下腹部をしげしげと眺めて、リオはどう説明しようか口ごもる。
「あ、あ、ゆ、ゆ……」
ユーヒと、それ以上声がでない。
どうしてか、自分の名前が言えないのだ。はくはくと息を吸っては吐いてを繰り返すばかりで、ローエンが訝しげにリオを上か見下ろした。
「どうした? しゃべれないのか?」
心配そうに、顔を覗き込まれ、キスしそうな距離に顔が熱く感じる。
「その、えっと、店でつけられて……、そのお客に……」
言いにくそうに、もごもごとしながら、他のことは口にできた。
「わざわざそんなものを仕込むなんて、悪趣味だな」
ローエンは眉をよせながらも、リオの唇に軽いキスをした。どうやらそれほど疑問に思わなかったらしい。
よかったと思ったが、これでは自分がユーヒだと証明できない。どうすれば正体をわかってくれるのかリオは頭を巡らせて考えようとしたが、被さった上唇と撫でられた太ももから、ビリビリとした電流が走り、強烈な快感にのまれそうになった。
「……んっ……あ、……あっ……」
「肌がきめ細かだな。まるで吸いつくようだ」
うっとりとする声が耳たぶをくすぐり、ローエンが首筋にきつく吸いついてきた。
そこからもとろけるようなあまさと熱に感じてしまう。リオのペニスは上をむいて、汁がだらだらと垂れ、気持ちよさそうに揺れていた。
「んあっ、あ。あ、あああっ」
戸惑いながらも心地よさに飲まれてしまいそうだった。いつもなら、服を脱がして、キスをするのに……。強引ながらもやさしいローエンに、感じながらも身動きができない。
「あっ……その……」
「どうした? 緊張しているのか?」
右手をつかまれ、ローエンの下腹部へ導かれた。まだ柔らかいが、太くて長い。触れると硬度が増して、張りもでてきて、リオの顔がカァと熱くなった。
「乳首が引っ込んだな」
「あっ……やっ、んん」
ローエンが胸の突起を吸ったとたん、感電するような強烈な快感が走った。きもちいい。ローエンの指先が触れるだけでも熱をもって、悦びと変わってしまう。
「ああっ、ん、ん、……あうッ」
じゅるじゅると胸を舐められただけなのに音を立てて吸われると、身体がビクビクと跳ねた。
逞しい肩に爪を立ててしがみついてしまう。刺激はどんどんと追加されて内部で爆発しそうになった。
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