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   ああ、これは相当酔っ払っているな、と、全身を包み込むベットへ体中の力を預けながら記憶の断片を辿っていた快斗(かいと)の唇に、柔らかくて暖かいものが触れ、目蓋を押し開けた。  覚えのあるその感触に唇を軽く開くと、口内に生暖かい水がゆっくりと流し込まれ、嚥下する。 (…誰だ)  課長はこんなことしないし、と思いながら瞬きを繰り返していると、快斗の視界に見知った顔が見えた。 「…本多(ほんだ)」 「センパイ、大丈夫ですか?」  ああ、そういえばプロジェクト終わりの打ち上げで酔っ払ったオレに肩を貸してくれたのもこいつだった、と思いながら起き上がろうとする。  しかしその途端世界がぐらりと揺らぎ、視点を中心に回り出し、その気持ち悪さからベットへ逆戻りしてしまう。 .

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