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だが、性格に難はあっても見映えのする男というのに代わりはない。
三つ年上の姉に揃えて貰ったというスーツのチョイスはセンスが良く、元バスケットマンだというがっちりとした体躯でスマートに着こなし、いつも磨き上げられた革靴を大股のコンパスで歩きこなす様は、モデルでもいけるんじゃないかと思わせられるほど格好良かった。
だから意味もなく、取引相手の会社から知徳を連れてくるように声をかけるような所もあるのだが、…何分引っ込み思案な性格が邪魔をして、話しかけられても言い返せないという、難点があった。
それを、センパイである快斗がフォローし、助けてやらなければならない場面が多々ある。
『お前は黙って、背筋を伸ばしてオレたちについてくればいい』
というのが、知徳が専ら努めなければならない仕事であった。
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