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第1話

-やった!! やっとカレの元から逃げる事ができた。 ホッとした。 それが正直な気持ちだ。 明るくて、活動的なカレ。 大人しくて、部屋で本ばかり読んでいる陰キャな僕。 皆は僕達がいつも一緒にいるのを不思議がった。 幼馴染みだと言ったら、皆が納得した顔をする。 『………あ~、だから仲いいんだ』 そう言って。 中にはうらやましいといった嫉妬の目を向けてくるヤツも。 両親が親友同士で家が近所だからといって、その子供同士も仲良くしなければいけない決まりはないはずだ。 我が儘な僕が人気者のカレの後を追いかけて、面倒見のいいカレが幼馴染みの僕を見捨てる事ができずに仕方なく付き合っている、みたいに皆は思っていたみたいだけど。 冗談じゃない!! 振り回されていたのは僕の方だ!! 僕は昔から幼馴染みのカレに振り回されてばかりだった。 そして怒られるのはいつも何故か、僕の方。 明るくて活発で人気者だからといって皆がソイツを好きになるわけじゃない。 カレは何をするのにも、どこへ行くにも僕を連れて行った。 僕の気持ちなどお構いなしに、僕を巻き込む。 部屋の中で独りで本を読んでいる時間が好きな僕にとって、明るい外で皆と一緒にする虫取りやかくれんぼ、サッカーなどは苦痛以外の何ものでもなかった。 カレにとって僕の気持ちなどどうでもいいのだろうか。 ………いや。 カレ自身に悪気はない。 それは分かっていた。 カレは僕を外に連れ出して皆と一緒に遊ぶ事が僕の為にいい事だと本気で信じていた。 自分が外で皆と遊ぶ事が楽しいから。 僕もそうだと信じて疑っていなかった。 その明るさ。 皆はそれを天真爛漫と言って笑って許していたけど。 僕には自分勝手にしか思えなかった。 そんな事、誰にも言えない。 両親はいつも家にこもりがちな僕を外に連れ出してくれるカレに感謝していたし、周りにいる人々は皆カレに好意を持っている人ばかり。 -誰にも言えないカレに対するXXX。 (いつになればカレから解放されるんだろう) そんな事ばかり考える日々。 -でも。 彼を見た時。 彼を助けたいと思った。 僕と同じ。 いや。 僕より強く縛り付けられている彼を解放したいと。 その為には。 僕もカレから逃げないといけない。 カレからの解放をただぼんやりと待つんじゃなく、自分から。 行動を起こす。 そう、決意した。 その為には。 生け贄が必要。 天真爛漫な真っ白なカレを。 真っ暗な暗闇の中へ落とす事になっても。 許してくれるよね。 今まで僕を好き放題縛り付けてきたツケだと思って。 僕の本当の気持ちを知ろうとしなかったのが悪いんだからね。 -犠牲になってくれるよね。

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