4 / 4
EP
「来年もこの辺りでプレゼント配るの?」
「担当地区の移動で転勤にならなきゃな。……散々飛ばされまくってっから、もう無いと思うけど」
思う存分好き勝手されたナツは、枯れかかった情けない声で嫌味を言う。
「ふうん。サンタってどこに住んでるの?」
「俺は靜岡県」
「フィンランドとかじゃないんだ……がっかりだ」
「離島じゃないだけマシだってーの!ようやくこっちの地域に慣れたのに、いつ転勤になるかビビってんだからな!」
「えっと、サラリーマンなのかな?」
ナツがぽかぽかと浅井の胸あたりを殴ると「いたい、いたい」と思ってもなさそうな声が弾んだ。
とりあえず寒いからもうちょっとこっちおいでよ、と浅井に引き寄せられる。
「来年もナツくんに会いたいな。来てくれる?」
だからそれまで頑張ってよ、という耳を擽る無邪気な言葉に、ナツは舌を出しながらあえて返事をしなかった。
きっと答えは、もう決まっているのだ。
ともだちにシェアしよう!