1 / 12

第1話

俺の名前は谷口翔。 大学時代にはじめたモデルのアルバイトの延長から 芸能界に入って、もう8年目。 とても嬉しいことに ファンの方もそれなりにいてくださるし 世間的には人気俳優言われている… でも最近 ずっと同じことの繰り返しで このままでいいのかな… もっと自分の殻を破らないとそのうち飽きられてしまわないかな… そんなことばかりを悩む日々が続いていた。 そして今日は刑事ドラマシリーズの撮影最終日 無事にクランクアップを迎え 数ヶ月を共に過ごしたメンバーと 無事に終わったというなんとも言えない達成感と解放感を 味わっているところだった そこにマネージャーの渉(わたる)さんが申し訳なさそうに でもとても急いだ様子で駆け寄ってきた。 「翔さん、お話し中すいません… 今社長から電話があって、至急事務所に よって欲しいと急かされていて…」 慌てた渉さんの様子 共演者の方たち、スタッフのみなさんに お礼を言い終えると 現場を後にした。 「急ぎの用事って何? 何かあった?」 「いえ…何も言ってくれなくて… ただ、人を待たせてるから急いで連れて帰って来いと それだけを言って電話を切られてしまって かけ直しても繋がりません… 翔さん…… 失礼ですけど…まさかスキャンダルとか…?」 「いや、全く心あたりはないよ! とりあえず事務所に向かおう」 と帰ることになった。 スキャンダル?? あるはずもない だって大学1年生で今の事務所に モデルのアルバイトにスカウトされて以来 女性関係には気をつけてるように言われて来たし その… この歳になって 実生活で誰かとお付き合いをする機会はなく… まさかの恋人は 今まで…ゼロ 人気俳優がそれで どうやって演技をしてきたのか 実体験はないなんて聞いて笑える ずっと墓場まで持っていくつもりだ 疲れのあったのか 気づいたら移動に車の中で爆睡 マネージャーに起こされた時には 見慣れた事務所の地下の駐車場だった そこには見慣れない いかにも高級そうな車が停まっていた

ともだちにシェアしよう!