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第2話

社長室のドアの向こうからは 大きな笑い声が聞こえてきた はぁ…よかった… もちろん心あたりはないが 心配したようなことでは無さそうだ 「失礼します。谷口です。 ただ今戻って来ました。」 と声をかけると 陽気な社長の声で 入ってくるようにと言われた ドアを開けると そこには社長以外に とても優しそうな笑顔の素敵な恰幅のいい男性と女性 そしてとても綺麗な顔立ちをした男性と可愛らしい雰囲気の… 多分男性であろう中性的な顔の男性が 仲良さそうに座っていた 男性はタイでとても有名なBLドラマ作品の脚本家 女性は演出家 そして仲の良さそうな男性2人は俳優さん達だった 社長と一緒にいらしていた通訳の方から 話を聞いた まとめると 今アジアではタイや台湾を中心に BL作品のブームが過熱して数年続いてる 日本ではまだまそういった分野の作品は数少ないが 実はタイのBL作品のファンの方が大勢いらっしゃり 日本での公開イベントに来日された この脚本家と演出家の作品は今まで全てが大ヒット だからそのイベントをしっかり観察させてもらって 沢山の事を吸収させて貰いなさい という事だった 「翔、この話だが 実は今回、日本でのBLドラマの先駆けとして お前を主役で起用した作品を撮影することが決まった もちろん引き受けるよな?」 「えっ… 社長… 俺…BLって男性同士の恋愛のBLですよね…?」 女性との恋愛も未経験なのに 同性との恋愛って…どんな感じだろうか… 戸惑ってたずねた 「それ以外に何があるんだ? お前の役者としての幅を広げるチャンスだぞ それに日本での先駆けになれるなんて 素晴らしいじゃないか! ジェンダーレスが当たり前の時代だぞ。 しっかりとイベントで学ばせて貰いなさい。 それに今回、この有名なディーンさんが脚本も演出も 来日して手掛けてくださるんだ。 お前は目に留めて貰ったんだ。わかるな? それにお前は英語が堪能だ。 みんなともコミュニケーションが取れるだろうし 明日からの3日間で密着させてもらってしっかり学んでこい。 悪いが久しぶりの休みは返上だ」 そこにいたみんなが自分の方を見て 笑顔を向けていた 社長は俺が断れない性格だと良く知っている それに確かに自分にとっても 新しい分野でチャレンジ出来るチャンスなのかもしれない 「はい… わかりました。 勉強させて頂きます。」 ついにそう答えてしまった この時の俺は 自分の人生が180度変わることなど 予想すらしていなかった 「よし! じゃぁさっそく行くぞ!」 「えっと… どちらに? イベントは明日から3日間ですよね?」 「あぁ、言ってなかったな 料亭を貸し切ってある。 19時に他の出演者の皆さんもそこで合流する。 お前も一度帰ってから来なさい。 俺たちはちょっと近場を観光してから 向かうよ。これ、ディーンさんの作品だから 見ておきなさい。」 とりあえず紙袋にいっぱいのDVDと共に社長室を後にした 混乱した頭を整理しながら マネージャーに自宅まで送ってもらう 「ねぇ、渉さん… なんか、頭だついていかないんだけど… なんか俳優さん達、ナチュラルにカップルだったよね?」 「でしょうね…びっくりしましたね。 自分も驚きました。 確かに日本の俳優さんと女優さんとの 距離感ではなかった気はしましたね。 ですが、なんだか素敵でした。 とりあえずお部屋でくつろがれて、少しでも 体を休めてください。また18時半には 下までお迎えに来ます。」 とりあえずマネージャーとは 一旦別れ シャワーを浴びて休むことにした 迎えの時間まで あと3時間ほどだった

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