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第1話「嫌いなあいつ」
高一ももう終わりの見えてきたこの三月。
俺は未だに理解できないというか、目にも入れたくもない奴が居る。
いつも自ら教卓の目の前なんて厄介な席を望み、分厚いメガネをかけて休み時間だろうが教科書を開いている男。
正直、見ているだけでムカつく。
入学したあの日、受験も終わってやっと自由を手にしたのにクラスに入った瞬間から勉強しているなんてウザ過ぎてしゃべりたくないと思ったそいつはイラつくことに宮部 と村瀬 で番号順だといつも俺の前に居た。
そこまで勉強する理由って何だ?
そんなに勉強したきゃ、もっと頭のいい学校に行けばいいのに。
つか、バカにしてんのか?「俺はもう二年後の受験に向けて準備してます」ってか?
マジ、ウゼぇ。
窓際の一番後ろであくびを噛み殺すこともせずに大きく口を開けて日差しだけは暖かいそこで机に頬を付けて脱力した。
机の上にはとりあえず教科書だけ出してある。
授業が始まっても教師ももう何も言わなくなったから俺はただ静かにムカつくあいつも見えないように目を閉じた。
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