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「あー、お前勉強する?それなら落ち着くんだろ?」  パッと手を離して宮部のリュックに手を伸ばす。 「あ、待った!!」  宮部の制止も無視してリュックのファスナーを開けた俺はピタリと動きを止めた。  中には教科書とかだけではなく、制服まで入っている。 「こ……れ……」  グギギ……と何とか首を動かすと、宮部は俺の手からリュックを取り返して俯いた。 「……とりあえず制服貸せ。掛けとかねぇとシワになる」  手を伸ばしても、宮部はリュックを抱き締めたまま縮こまっている。 「宮部!……本当、何なの?お前……」  言いながらリュックを握る手をゆっくり離すと、中から制服を取り出した。  ブレザーにスラックス、シャツにネクタイ。  最低限の制服が丸々入っていた。  それをハンガーに掛けて振り返ると、宮部はまたリュックを手繰り寄せている。  家出でもしたのか? 「お前……帰れないって言ったよな?……何で?」  ピクッと肩は動かしたが無反応な宮部を見下ろしていた俺がすぐ側でしゃがんで見ても宮部はリュックに顔を埋めたままこっちを見ない。 「……あのさぁ、俺、自分ん家に初めて人連れて来てんだよ」  ゆっくりサラサラのその髪を撫でると、宮部はやっと少しだけ顔を上げて目だけでこっちを見た。 「今まで女の子連れて来たことも友達だって連れて来たこともない。中学から一緒の武野だって来たことねぇんだぞ!?」  その唯一見える分厚いメガネの向こうにある目に目線を合わせる。 「特別だぞ!」  ニッと笑うと宮部はキュッと眉を下げた。 「特……別……?」 「そう!」

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