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リュックをゆっくり床に置いた宮部とベッドに寄りかかりながら並んで座る。
「帰れないならさぁ……帰るなよ。制服もあるんだし、泊まって明日一緒に学校行けばいいじゃん?」
グッと伸びてから隣に居る宮部を見ると宮部はフルフルと首を横に振った。
「そんなの悪いよ」
「何が」
「お邪魔するなんて申し訳ない」
「もう居んじゃん!誰が邪魔なんて言った?母さんも飯準備してんだぞ?」
じっとその後頭部を眺めると宮部はキュッと膝を抱えて小さくなる。
「……お前さぁ……何でそんなちっちゃくなんの?」
「へ?」
「まるで隠れるようにってか、存在消したいってか?」
振り返った宮部は困った顔で、でも、こくりと小さく頷いた。
「僕はきっと……消えたいんだと思う」
「はぁ!?」
微笑んだような宮部の肩を掴むと、宮部は視線を外して俯く。
「……うちは母子家庭で……今はお母さんの彼氏が来てるから、僕は消えないといけないんだ」
「何だそれ……」
ザワッと鳥肌が立つほど腹わたが煮えくり返るような、内側で何かが目を覚ましたような今まで感じたこともない感覚。
やたらイラついて……でも、目の前の宮部を何とかしてやりたいと思った。
「む、村瀬……くん?」
気づいたら俺はキツく宮部を抱き締めて、しっかりこいつの存在を確かめるようにギュッとキツく腕の中に閉じ込めてその体温を感じる。
戸惑ったような焦ったような宮部を黙らせるようにただ静かに歯を食い縛っていた。
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