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「手でも繋いで行くか?」 「な、何言ってるんだよっ!!」  真っ赤になって慌てる宮部の反応がいちいち新鮮でクセになる。 「だって付き合うだろ?俺たち」 「え!?」 「何でびっくりするんだよ。両想いなのに」  その肩を抱いて笑うと宮部はまた慌てて逃げた。 「そんな表立ってはちょっと……」 「へぇ……家でならいいんだ?」 「は?」 「今日から夏休み。しかも、一緒に住むってわかってるか?」  ニヤリと笑うと宮部は少しずつ後退る。 「怯えんな。大丈夫だっつの。父さん、単身赴任で部屋空いてるし。わかったから!ゆっくり……な?」  姉ちゃんから『着いた』とメッセージが届いて車の方を見てから宮部に向かって手招きをした。 「ほら、いいから帰るぞ!」  そろりと窺うようにやってくる宮部にメガネをかけてやって俺は先に歩き出す。  ためらいながらもやっと宮部が隣に並んでくれたのを見て俺はただ微笑んだ。  嫌いだったあいつと共に……!!  もうこれからは安心して笑わせてやると心に誓って俺は公園を後にした。

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