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序章
「ひっ…も、やだってばぁ…やだ、いや」
「痛いっ…ゆるして」
「ひく…っひっく、うぇ」
「ぁ、ぁん…も、イクっイクー」
「もぅイキたくない…っいや!たすけて」
治療部と呼ばれるそこには今日も通常聞かないような声が響き渡る
残酷な日々に終わりはない。
彼らは花。
サクラにアオイ、ぼたんにカスミそしてもみじ…
都度違う名前の子たちがいるが、一様にしてみな花や植物の名前をつけられる
ここでは本当の名前は存在しない
花として育てられ、花として買われ…幸せになる子もいればそうでいない子も、、
ここには幸せになれる確率の低い出来損ないの咲けない花たちが集められ、治療と称してさまざまな拷問を受ける
これに耐えられなければやがて臓器売買でもされて廃棄される。
そんな処遇の彼らのサポートをするのがオレ…木本春(きもとはる)の仕事だった
ガチャ、、
扉の開ける音ともに優男面の白衣姿の眼鏡の男性がオレの元に近寄る
「春…彼らの様子は?」
「上々とは言えないよ…。ツラいだろうな、イキたくてもイケなかったり、逆にイカされまくりないまごろって」
「さすが元住人なだけあるね」
「う…思い出させないでよ、仁科せんせ。トラウマなんだから」
口をとがらせながらも男に抱きつきにんまりと笑い胸に顔を埋めるとなんとも言えないあたたかな気分になる
「甘えんぼだな」
「そうさせたのは晴一(せいいち)さんでしょ?」
「そうだな。20歳になるからもう3年か?」
「うん」
かつてはツバキとしてオレもここにいた
それを助け出してくれたのはこの仁科晴一。
あの時は大嫌いな医者だったのに、いまではなくてはならない存在
あの時助けてくれなかったらオレは今頃切り刻まれて臓器にでもなっていたんだろう
彼らもこのあたりで諦めてくれないと命の補償をしてあげられない、、
情って言うのはわくもので廃棄になれば悲しいし、飼われていくのを見てもやるせない気持ちになる
その気持ちを早くなんとかしたくて
泣いてばかりでいまいちばん手のかかるカスミの元へと晴一を誘導し、カスミの傍らに立つと明らかにカスミが怯えだした
「ひっ…や、もう今日しないて言った」
「いやいや。そうじゃないよ?ただの回診だから。晴一さん、この子カスミ」
「憔悴してるな、、食事量は?」
「0だよ、0。やばくない?で、泣いてばっかで指導官カンカンなの」
「ん〜…廃棄目前かな?」
廃棄と言うフレーズに反応して手枷を鳴らして暴れ
「やだっ帰る!」
「無理だって。どうしたらいい?鎮静かけたりとか?」
「いや…春、ツバキだったころの話をしてやるといい」
「え?…あんまり気乗りしないしないかも」
「いいから。任せたぞ」
ポンポンとオレの肩を叩き晴一は退室した。
どこから話すべきか…
それは3年前のこと、、
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