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第21話
「お待ち下さいッ」
ハッとして振り返った。
跪いたまま、刑務官が悲壮な叫びを上げた。
「我々の役目はまだッ」
声は怒号に掻き消された。
正面の壇上。
裁判官達の消えた扉が、けたたましい不協和音を奏でて開く。
「お待ちをッ」
硝煙の薫りがした。
本能が深奥で警鐘を鳴らす。
「逃げろッ!」
ほとんど反射的に叫んでいた。
だが、しかし。
唯一の脱出口である後ろの扉は、何者かによって固く施錠されている。
瞬時に理解した。
功績
刑罰
名誉
目隠し……
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