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第29話
白銀の機体。
白の騎士・ヴァイスリッターの名に相応しい輝きを放つ。
ブレイヴ・デュナメス
俺が乗るんだ……
白銀の鎧を身にまとう、騎士の形状の巨大な機械が、俺の前に跪いた。
俺に忠誠を誓っている。
大きな腕が伸びてきた。俺を運ぼうとしている?
手に飛び乗ると、俺を乗せて胸の中央までゆっくり移動した。
カシャン、カシャン、カシャン
堅固な鋼鉄の鎧が幾重にも開いていく。
内部へいざなう。
「ここがコックピット……」
操縦席正面、手元のモニターが光った。
B raid
R efine
A egis
V alue
E agerness
青い文字が映し出されていく。
B R A V E
文字が回転する。
光った。
網膜を刺した眩しさに目を閉じた。
そうして、ゆっくり瞼を開けた時。
「凄い」
360度。全方位モニター。まるで操縦席が宙に浮かんでいるようだ。
ピッ
通信だ。音がした方へ手を伸ばすと、モニターが浮かび上がった。
『ライト様、ご無事で』
「クレイ!」
聞き慣れた声がどこか懐かしい。
モニターが金髪青眼の青年の姿を映す。
『遅くなり申し訳ございません』
「大丈夫だよ」
『間に合って良かったです。まずは手錠の鎖を切ります。腕を前方に突き出して頂けますか』
「こう?」
指示通り、金の鎖で繋がれた両手を前方に出した。
『目を痛めるといけません。少しだけ目を瞑って』
ジジッ
瞼の裏で閃光が走り、金属の焼き切れる臭いが鼻をついた。
『もう目を開けて構いませんよ。鎖を切りました。手枷はそのままになりますが、ご容赦を』
「充分だ」
腕の自由が効くのと効かないのとでは、雲泥の差だ。
『それではパイロットスーツに着替えて下さい。操縦席の下にヘルメットもありますので、お忘れなく』
「分かった」
『着替えられましたら、すぐ発進します。追手が差し向けられる前に脱出しましょう』
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