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第44話
『間もなく地下道を抜けます』
「間に合ったね」
発射した予備ブラスターは時限装置が稼働する。
自動爆発までに地下道から外に出る必要があったが、どうやらタイムリミットに間に合いそうだ。
『N4通路までもうすぐです』
「敵が多いな」
ブラスターで熱源反応のダミーを作り、敵を分散させたといっても……
『出ます』
グォン!
加速度を上げたエンジンが火花を上げた。
「これは」
レーダーで分かっていたとはいっても、目の前にして圧倒される。
《ノイシュヴァン》第4世代《パワーズ》の壁!!
絶対多数による暴力だ。
目にしただけで気圧される。
だめだ、こんなじゃ!
頭を振った。
俺が逃げてちゃ。戦う前から圧されてどうする?
よく考えろ。ここまで来たのは何のためだ?
考えるんだ。
冷静に把握すれば、突破口は必ず開ける。
ガグォン!
先に動いたのは《パワーズ》だ。
数の優位で押し潰すつもりだ。
「だけどっ」
『機動性は《デュナメス》にかなわない』
機体が右に振れる。
急旋回を開始する。
「作戦は変わらない」
撹乱
「徹底的に動く」
一か所に留まってはダメだ。
動いて的を絞らせない。
《パワーズ》の大剣が振り下ろされる。
「大丈夫!」
エンジンをうならせた《デュナメス》が左にカーブを切る。
かわせた!
この一撃は大きい。
《パワーズ》の剣では《デュナメス》を仕留められない事が証明された。
時に防御は攻撃以上の戦果をもたらす。
大剣が落ちるタイミングで跳んだ。
「やった」
バランスを逸した《パワーズ》を足蹴にし横一線、蹴りを食らわせる。
『ヴァイスリッターは射撃を得意としていましたが、今のあなたの《デュナメス》は格闘型になりましたね』
「そうか……」
それで地下道で放ったような両腕二丁ライフルが装備されていたんだ。
「これ借りるよ」
機動停止した機械から、借用の了解は得られなかったけど。吹っ飛んだ《パワーズ》から大剣を奪った。
剣を水平に構えて突進する。
前方に《パワーズ》が集結した。
「盾兵」
大盾を構えて進撃を阻む。
『構いません。最大加速度で前進して下さい』
分かった……こういう時は何て言うんだっけ。
「Allesklar !」
了解。
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