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第1話
テーマパークへGO!
それは木枯らしが吹くとても、とても寒い夜…………。
冷風に枯葉が吹き飛ぶ並木道を、コートを着込んだ五人の刑事が歩いていた。
「ここをずっと行くと、あるわけですか、その……」「テーマパークが」
「所有者不明のね」
一人、年若い刑事以外は全て中年の刑事だった。
「そうです……、所有者として記録されている人物及び関係者が、全て所在不明か、死亡しているんですよ……。それで現在は、行方不明の所有者の親類だと名乗る男が、テーマパークを管理してそこの中に住んでいるようです」
「そいつの身元は洗ったのか?」「それが調べても経歴が出てこない……」「ますます怪しいな」
「それで、相次ぐこの地域の行方不明事件と、このテーマパークが何かしら関係してるんじゃないかと疑惑が持たれて、俺らが今から事情を聞きに向かう所なんですね」
一番年若い新入り刑事、宅間 隆平(たくま りゅうへい)が、総括的にまとめた。
まだ明るく無邪気な色を残すこの新人刑事は、キャリアを積んだ刑事によくある重厚な哀愁感がからきし見当たら無かった。
「だからってこんな大所帯で向かう必要があるのかねぇ!」
タバコを咥えた、人相の悪いリーゼント頭の刑事は文句じみた言葉を荒く誰にともなく吐きつける。
「まぁまぁ、何せ広大な敷地ですからねぇ、一通り中を見て回れ、てことでしょ。五人で手分けして」
眼鏡をかけた管理職っぽい風情の刑事が宥める。
「敷地が広くて、営業されていない休業状態の遊園地だ……。そこらへんに死体がゴロゴロ埋められててもおかしくないのぉ!」
既に頭髪のハゲ上がった太り気味の刑事はそう言って明るく笑う。
「周辺は森か…………」
最近結婚したばかりの、渋い横顔の刑事は鋭く環境に目を光らせる。
「こっちっスね!迷いそうになる道スね、皆さん、足元気をつけて下さいよ!」
宅間は地図を見ながら、声を張り上げた。
遊園地の正式なゲートではない、通用口らしき小さな門を、寒い中、暫く迷いながら、五人はやっと見つける。
インターホンが横についている。
ヴィーと押すと、しびれ切らすほどの長い時間の後、やっと男の声の応答があった。
「………はい、………何でしょう?」
「私らは蟻巣都(アリスト)署から来た刑事です。ちょっと最近多発している事件について、この地域の人達に聞いて回ってることがあるんですよ。ちょいと、扉を開けて貰えませんかね?」
太った刑事は威圧さを排除した声色でインターホン越しに尋ねる。
インターホンから溜息が聞こえた。
ブツッと切れる。
思わず刑事達は互いの顔を見合わせる。
だが、しばらくして、ちゃんと中の住人は出てきた。
遠くから門の柵越しに、ちゃんと歩いてくるのが見える。
なかなか見目は良い男だ。
茶色のシャツに、色の揃えた灰色のベストとパンツを着込んでいる。
ネクタイははめられていない。ポケットに手を突っ込んで、ラフな雰囲気だ。
「どうも……。沢木と云います。この遊園地の支配人です。まぁ、見た通り、営業なんかしてませんけどね。クックック……!」
とりあえず、中へどうぞ、と、片手を広げて、沢木と名乗る人間は、刑事達一行を案内した。
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