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第2話
広々とした応接スペースに通された。
一番奥の茶色のソファーに沢木は座り、背もたれに片腕を乗せ、足を組む。
入り口近くに刑事一行は立たされている。
「それで何の用件なんですか?」
沢木は笑いながら自分の膝小僧をいじくりさすって聞く。
「ここ最近、このあたりで行方不明者が去年から頻発してましてね」
「ほぉ、行方不明者が……」
沢木が眉を上げる。自分の膝を撫でる指がピクリと止まる。
「沢木さん……でしたかな?あなた、確かこの遊園地に姿を現し始めたのが、丁度去年からだと、近所の人がおっしゃってましたなぁ」
「俺がそれに何か関係あるとでも?」
「いえいえ、そうじゃなくて、ちょっと詳しい話をお聞きしたいだけなんですよこっちは」
「沢木さん、この遊園地を誰から譲り受けたか、名前をきちんと教えていただけませんか?それとご出身はどこです?以前のご職業は?」
二人の刑事から挟まれて問いただされる沢木は、不快感をあからさまに表情に露わにした。
「…………不愉快だなぁ」
シュパッと閃くキラリと光るものが、刑事達の間を舞った。
五人の刑事達は一瞬呆然となり、一番前に出ていた宅間が、後ろの四人の姿を振り返った。
四人の刑事は目を丸くし、呆然とした顔のまま、次々にポロポロと血を吹いて首が落ちていった。
「……………」
宅間は口をアングリさせた3秒のち、叫ぶ!
「ぎょわ゛!!うわ゛わ゛わ゛わわアァッーーーーーーッッ!!!!?」
宙吊りギロチンが天井をブランブラン揺れ下がっている。
沢木はスックとソファーから立ち上がり、宅間に向けてこう言った。
「宅間刑事と云いましたね……。
おDeathいテーマパークへようこそ」
刑事ビビる!
もっとそこは言葉で色々やり取りしてからじゃないの!?
いきなり殺すなんてアリかよ!!
沢木は交渉の余地を持たない人間だ……宅間は本能で理解した。
どうする!?ここは拳銃を懐から抜くところだが……対峙をするか!?
思わず来た入り口に向かって逃げようとする宅間。
刑事の矜持を見せなくていいのか、と自問葛藤するが、何せ矜持を見せるべき先輩刑事達は一気に死んだのだ!
刑事としてのプライドなんて張っても誰も見てないのだ!
その時ブツッと宅間の首筋に痛く何か当たった!
倒れる宅間刑事。手足が痺れている。
首筋を恐る恐る触ると細い針のような矢が刺さっている。
引き抜くが時既に遅く……手足が言うことを聞かない……。
背後から歩んでくる沢木は、長い2メートルほどの吹き矢筒を手にしていた。
毒針だ!
「痺れ薬だ」
そういうと沢木は、宅間の体の足を掴み引き摺る。
エレベーターまで運ばれ、地下へと降りていかされ、長い地下道を頭をあちこちにぶつけられながら引きずられた。
「重い!!」
沢木は引きずりながら文句を言った。
一つの黒い鉄扉が開けられると、そこには…………。
信じられない光景だった。
赤黒い壁に囲まれた、なかなかに広い空間。部屋というより、そう、空間。
下は床というより石そのまんまだ。
動物の模型……?
沢山飾られていた。
宅間は何回も凝視した。
そこにあるのは幾種類もの、動物のミイラ化している死骸が点在していて、作り物か本物かわからない。
もし作り物だとしたら、かなりの精巧な出来だ。
動物達が機械に結びつけられている。
それも猫と犬、ゾウとクジラ、馬とゴリラなど、種類の違う動物、サイズの違う生物同士が、機械によって身体を拘束され、交尾をする姿勢で、固められたまま、ミイラ化しているのだ!
人間で言う後背状態のもあれば、正常位状態のもある……。
ある一点の奥まで、沢木に引きずられて、宅間はギョッとした。
そこに置かれてあったのは、とうとう人間の男が豹にのしかかられている状態のまま時が停止しているミイラだったのだ!
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