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閑話 それからの彼らのお話。
数年後
雲雀は最愛の運命から一大事だと聞きつけて、家に帰って来た。
息を切らして寝室に向かうと、ベッドの上で陽がしょんぼりと肩を落としている。ぽわぽわとほのかに甘い香りは気の所為ではないだろう。
陽、と声をかけると陽が振り向いた。
たっぷり潤んだ桃色の瞳と同じく淡い色に染まった頬の愛らしさは、出会った時から変わらない。
彼の手にギュッと握りしめられているのは雲雀の服だ。そして、それらが何の法則性もなく、ベッドの上に散らばる光景もだいぶ慣れてきた。
雲雀は一緒に住んでみて知った。
陽は、巣作りがあまり上手ではなかった。
本人もわかっているはずなのに、毎回『どうしてこんなことに……?』とでも言いたげな表情をしているのが可愛らしい。
「……ひばり、お洋服出したらしまえなくなっちゃった……」
困り果てて垂れ下がった眉があまりにも不憫で、雲雀は苦笑した。
「いいんだけどさぁ、それくらい言えばやってあげるよ?」
「今日はできる気がしました」
「そっかぁ。できる気がしちゃったかぁ」
「いつでも挑戦する気持ちを忘れないようにしたいと思います」
「そうだなぁ、頑張ろうな」
幾度目かの春を迎えてもなお、俺の運命はとても勇ましくて可愛らしい。
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