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第6話

「危ないっ!」 初めて聞くその人の声は、 なんだかお父さんの声に似ていた。 その人は咄嗟に僕の手を引っ張って、 僕を助けてくれた。 「大丈夫かい?」 その人はブレザーを着ていて、 僕よりも大人びているお兄さんだった。 雨で濡れた髪もセクシーで大人の雰囲気があった。 「あっ…………」 僕は現状が理解できず上手く喋られなかった。 「いきなりで驚いたよね。もう大丈夫だよ。」 その一言で漸く落ち着いてきて、 そして安堵から涙が止まらなくなった。 「ゔぅっ……………ぐすっ………」 「き、君は……………」 僕の顔を見るなり、 お兄さんは目を見開いた。 そして僕の手を強引に引っ張って歩き始めた。

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