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第11話

18歳の誕生日を迎えた朝。 学校への支度を終え、リビングに行くと、 お母さんが待っていてくれた。 「澪、18歳の誕生日おめでとう。 大きくなったね。これは私からの気持ちよ」 そう言って、木箱に入った箱を貰った。 少し重たくて中身は見えなかった。 「ありがとう!開けてもいい?」 「ええ、もちろん。澪にきっと似合うと思うわ」 箱を開けてみると、そこには腕時計が入っていた。 今時珍しいねじ巻き式で、とてもシックなデザインだった。 「もし時間が止まってしまったら、またねじを巻いてみてね。そしたらまた時間が進んでいくの。ゆっくり、澪のペースで時間を取り戻せばいいのよ。」 お母さんは、あの日から抜け出せない僕をずっと心配してくれていたんだ。なのに、僕はずっとあの日に囚われたまま…… 「ありがとう…本当に嬉しいよ。大事にする。」 そう言ってお母さんに抱きついた。 なんて幸せな誕生日なんだろう…… こんな日々がずっと続けばいいのにな……

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