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第2話 R18

ズルリと同時に二人が俺の体から出ていくと、支えるものが無くなりドサッと俺はベッドへと倒れ込む。  飲み込めなかった精液が涎と一緒に唇から出ているが、拭える体力は残っていない。  だが、二人は選手交代したようで、奈央と理央の位置が変わり、奈央は俺の体をひっくり返すと正常位で俺を抱くらしく、俺の膝を開いて間に自分の体を入れ込む。  理央はその間、ベッドサイドにあったティッシュを何枚か取り、俺の顔を綺麗に拭うと、チュッと音を立て唇を塞ぐ。  ……ッ、ちんぽ咥えて、おまけに精液臭いのに良くキス出来るな……。と思っていながら、のびてきた舌に俺も応える。  クチュクチュと音を立てながら理央とキスしていると、ゴムを付けた奈央が自分のモノを何度か俺の孔に擦り付け、今度はゆっくりと中へと挿してくる。  「ンァッ……、アッ、アッ……」  理央よりも少し太いモノは、奥までピッチリと俺を満たすと、ゆっくりと抜き差しを始めた。  「ヒ、ァッ……、ア……」  理央とは違う動きは、緩やかに俺を追い詰めていく。手前の弱いか所を執拗にカリで押し潰すようにトントンと叩いたと思えば、ゆっくりと奥まで挿入し、グッグッと捏ねるように腰をスライドさせずに押し付ける。  「ン~~ウゥッ……、ゥアッ、アァ……ッ」  俺の反応を見ながら理央が乳首へ指を伸ばすと、ピンッと立った先端を緩く円を描くように愛撫し、もっと強い刺激が欲しくて理央を見てしまう。  理央はそんな俺を見て、微かに口元を嬉しそうに歪めると親指と人差し指で乳首を挟みキュッと抓ると、直ぐに親指の先端でコリコリと小刻みに何度も刺激する。  「ウゥ、ンッ……、アァ、き、……ッ持ち、良い……ッ、良いよ……ぉ~……ッ」  緩く背中を反らして、素直に喘ぐ俺の頭を理央は優しく撫でると  「ハハッ、気持ち良いか?……、可愛いな、お前……」  甘く呟きながら、今度は両手で乳首を愛撫され、俺はビクリッと体を震わせる。  二人が触るところ全部が気持ち良くて、全身が性感帯になったみたいにビクビクと小刻みに体が揺れてしまう。  と、奈央が俺のフニャフニャになったモノにローションを大量に流すと、理央が脱ぎ捨てていたボクサーパンツにもローションを垂らし  「もっと気持ちくなろ~ね?」  と、ボクサーパンツを俺のモノにあてがって扱き始めた瞬間  「ア゛ッ!?……ッ、ヤ゛ダッ!~~~ッ、ソレッ……ヤ゛メ゛ッ、デ……ッ!」  弛緩していた体に力が入り、大きく腰を浮かせてしまう。  ローションで滑りが良くなったボクサーパンツが、三度達して敏感になった俺のモノの先端で動く度に、痛さを上回る快感に包まれる。  「イ゛~~ッ、……ギィ……ッ、ヤメ゛、デ……ッ、ち゛んぽ、ォッ……、ち、ん゛ぽ……ッごわ゛れ、るッ……!」  「壊れないよ~?」  「ア゛ッ、ア゛……ッ、バ、カな゛る……、がらァ……ッヒッ、ヒ、ィ゛……ッ、ち゛んぽ……、バガッ……なるゥ゛ゥ~ッ!」  「なっちゃえよッ!」  ドチュンッ!  「カッ、ヒュッ」  ギリギリまで抜かれていた奈央のモノが、いきなり奥まで挿入され、俺は背中と喉を反らせるとピクピクと体が痙攣する。  「グァ……ッ、中イキしてる……」  「オイ、昂輝。息しろ」  理央の手が、仰け反った腹から胸全体を撫でて  「ア゛ッ、ハァ、ァ゛~~ッ……、ングゥッ、ア゛~~~ッ……」  喘ぎと共に呼吸し、それと同時にビクンッ、ビクンッと体が波打つ。  「ア~~~ッ、イキっぱなしになってる……ッ、気持ち良い……ッ」  ギュウゥッと中を食い締める事を止められず、その度に新たな快感の波に攫われてずっと気持ち良いのが続く。  俺は顔を横に向けると、目の前に再び勃起した理央のモノがある。  震える指先でソレを掴み、俺は顔を伸ばして口を開け含むと、先端を舌で愛撫する。  「良い子だな……」  理央が囁き、優しく頭を撫でるのですら気持ち良くて、指先で竿を上下に扱きながらフェラをする。  その間も奈央は執拗にボクサーパンツで俺のモノを扱き、内壁を擦り上げる。  ビクビクと体を痙攣させながら、何度も中で達していると、漏れそうな感覚に俺は理央のモノから口を離し  「アッ……、止まっ……ッで、イァ゛……ッ」  「ん?なに?」  俺が何かに焦っている事は解っていて、聞いてはくれるが奈央はどこか余裕そうで……  「ハァ゛……ッ、で、……でるッ……、ンウゥッ、漏れ゛……る……ッ」  空いている方の手を伸ばし、カリカリと力無く奈央が扱き上げている指先を止めて欲しくて掻いても  「ン、漏らしなよ?見ててあげるから」  首を傾げながらそう言われ、俺は緩く左右に首を振り  「あ゛……ッ、ヤ、ダッ!……ッ、離せ……ッ、は、な゛せ……ッよぉ、……、も、ッも゛れ……ッ」  「ハァ、ヤバッ……、イキそ……」  「……ッ、俺も……」  理央は俺の手の上から自分の手を合わせて、亀頭に圧を加えて扱き上げており、イキそうな顔が眉間の皺を深くしている。  奈央もまた俺の中で達してしまうのか、ゆっくりと動かしていた腰が徐々に早く、打ち付けるように重くなるので、俺はハクハクと空気を噛む。  ……ッ、キちゃう゛~~ッ、大きい゛のッ……、キちゃッ、~~~~ッッッ!!!  「ア゛ッ、漏れ゛るッ……、でる゛ッ……、で、ちゃ、……ッッ!!!」  一度大きく全身が跳ねると、萎えて芯を持たないモノからプシッ、と透明な液体が勢い良く出ると、次いではビュクッ、ビュクッと痙攣と同じリズムで漏れるように先端から流れ出る。  「イ、クッ……、イクッ」  俺が達した直後に、中で奈央が爆ぜる感覚。  「……ッ、フウゥ……ッ」  理央も奈央と同時位に、俺の顔に射精する。  俺の記憶は最後、そこで途切れた。           ◇  「どう?」  「爆睡してるな」  「そうか……」  俺、川田奈央はゆっくりと溜め息を吐き出して、ソファーに背中を預けると、鞄の中からアイコスを取り出しスゥ~と肺に煙を入れ、吐き出す。  俺の弟の理央も隣に腰を下ろすと  「一口」  と言って口を開けるので、俺はもう一度煙を吸い込み肺に入れる前に理央に口付けしてその中に煙を吐き出す。理央は逆に俺から煙を吸うと、ゆっくりと唇を離してハァ~、と吐き出す。  そんな俺達を監督はタジタジっとした感じで見ている。            *  事が終わって昂輝君が落ちてから、スタッフさんが機材等を撤収していく。その間俺と理央は、昂輝君を抱えてバスルームまで行き、体をザッと綺麗にしてから汚れてないベッドの端に昂輝君を横たえさせ自分達もシャワーを浴びた。  その頃には機材の片付けもほぼ終わっていて、俺は服を着るとスマホを持って一度部屋から廊下に出て一本電話をかける。  相手は二コール目で出た。  『はい、〇〇金融です』  『ども奈央です。谷垣さんいる?』  『少々お待ち下さい』  厳つそうな声の後に、爽やかなメロディーが流れる。……、ギャップ萌えでも狙ってんのかな?この会社。  『はい、谷垣です』  『あ、谷垣さん?奈央です』  『……あぁ、終わったのか?』  『ウン、さっき終わったトコ。近くにパソコンある?』  『ちょっと待ってろ……』  電話口でゴソゴソしている音に、する事解ってんだから準備しとけよな。と心の中で悪態を吐いていると  『準備できたぞ』  と、言われるので  『ちょっと待ってね、今から送るから……』  と、俺はスマホ画面を弄って送金ボタンを押す。  『送ったよ。確認して』  『………、ん、確認できたぞ』  『了解。これで谷垣さんとこと、昂輝君は無関係って事で大丈夫になったのかな?』  『そうだ』  『じゃぁ、あの借用書破棄しといてくれる?』  『あぁ………。それと、アイツの嫁とホストの居場所が解ったんだが、どうする?』  『ウ~ンそうだな、昂輝君が離婚届出すまでは、見張っててもらおうかな?』  『解った。また動きがあったら連絡する』  『は~い、よろしく~』  ブッ。と電話を切って部屋ヘ戻ろうとドアを開けるとワラワラとスタッフさん達が機材を持って出てくるところだった。  『お疲れ様でした、また宜しくお願いします』  ドアを持って、スタッフさん達が出やすいようにしていると、ペコペコと会釈されながら部屋から出ていく。出ていった後に俺は部屋ヘと入ると  『奈央、お疲れ』  監督が洗面所で手を洗って出てくる。  『お疲れ様、監督も色々とありがとね』  『イヤイヤ、お役に立てて良かったよ。しかも今回の件でお役に立てたら、次回僕が企画する作品に割安で出演してくれるなんて、参加するしか無いだろう?』  監督と俺はお互いの顔を見合わせて、ニヘラと笑い合うと  『……まぁ、リアリティを出さないと、どこで嘘だってバレるか解らないじゃん?』  そう。本当は最初から昂輝君をAV出演させる気なんてさらさら無い。事前に知り合いの谷垣さんに昂輝君の借金の額は教えてもらっていたし、それを俺と理央が肩代わりする事で先に話はついていた。  監督にお願いしたのは、この場所作りだ。本当にAV出演させるみたいにこの場を作らなければ、人ってどこで違和感を感じて疑い始めるかなんて解らないだろ?  まぁ、案外素直に騙されてくれた昂輝君には、好感度しか無いけど……。  なので監督に協力してもらう変わりに、次回監督が企画するAVには破格の値段で出演する事になってるし、今日借り出したスタッフさんのお給料も俺と理央が出す手筈になっている。  『んで、コッチ』  俺は親指を立ててソファーの方にクイッと倒すと、俺に続くように監督もソファーに近付く。  服を着た理央は、寝ている昂輝君の寝顔をベッドに座って見ているようで、俺はチラリと二人を見てソファーに落ち着き、アイコスを鞄の中から取り出すと、吸い始める場面に戻るワケで……。            *  監督がタジタジっとした感じで俺達の事を見ているが、俺と理央は周りからのそんな反応には慣れていて、三人でソファーに落ち着いてから、俺はアイコスを理央に渡し、再び自分の鞄をゴソゴソすると  「コレ、言ってた金額にちょっと色付けてるから」  鞄から取り出した茶封筒を監督の前に差し出すと、監督は直ぐにそれを手に取り俺達の前で中身を確認する。  「ん、あるね」  お金を受け取ってニコッと笑う監督に  「で、今日の分コピー出来たら、事務所に送ってくれる?勿論マスターテープと一緒に」  「解ってるよ。多分二、三日後には届けれるんじゃ無いかな?」  シレッとそんな事を言っているが、この人が癖のある人だと俺は知っているので  「余分にコピーしても駄目だし、万が一今回のが流出したらどうなるか……、まぁそれは監督が一番解るよね?」  と、釘を刺す。  「わ、解ってるよ……ッじゃぁ、僕は帰るね……」  「お疲れ様、また宜しくね。監督」  出て行く監督にヒラヒラと手を振って見送ると、隣に座っている理央を見詰める。  「何だよ」  ボソリと理央が呟いて俺の顔を見返すので  「………、俺ってイカれてる?」  ジッと理央を見たまま尋ねる俺に、理央は小さく溜め息を吐き出して  「お前がイカれてるなら、俺もそうだろうが?」  呆れながら言われ、俺はやッと心の底から笑顔になると  「だよね~?」  フフッ。と理央に笑いかけながら、膨らんでいるベッドヘ視線を向ける。  「ヤバイよね理央、こんなに上手くいくとは思わなかったよ」  「………、正直それは、俺も同感」  俺と理央は、今日よりも以前に林昂輝の事を認識している。  そして、こうなるように仕向けたのも俺と理央だ。  俺達二人は双子のハーフで、AV男優を仕事にしている。結構人気があり、事務所で一番の稼ぎ頭で、ノーマルからゲイモノまで幅広く出演している。  数ヶ月前に事務所の近くのビルで改装工事が始まり、そこに昂輝君がいた。  俺と理央は事務所に向かっている途中で、昂輝君は多分お昼の飲み物を買いに改装現場から出てきたところ。出会い頭に俺とぶつかって  『あ、すみません!怪我無かったですか?』  『イエ……』  いつものように俺は帽子を深めに被っていたから、昂輝君には顔はハッキリと見られていない。  チラッと帽子の隙間から覗き見た彼は、心配そうにこちらを見ていて  『本当、すみません。もし何かあったら俺ここで当分仕事してるんで、声かけて下さい』  ペコリとお辞儀して、俺達から踵を返す後ろ姿に、俺は咄嗟に理央を振り返り……。  俺も理央も一目惚れ。しかも二人共一目惚れが初めてだった。  昔から目立つ俺達は、何もしなくても人が集まりやすい。その中から良いなと思う奴を適当に相手にしていれば、下半身が乾くって事は無かった。しかもAV男優っていう仕事柄、殊更コッチ方面は充実している。  だが俺達には共通の悩みがある。それは、性欲が強い事であまり満たされないという事だ。  売れっ子の俺達だから、毎日撮影とかで発散できると思う人も多いが、売れっ子になると一本のギャラが大きく、そうなれば出演する回数はそれに比例して少なくなる。  俺も理央も月に一、二本の回数しか出演しないし、相手の女優、男優さんに負担はかけられない。  女優さんに対しては極力優しく無茶しないように丁寧に抱く為返って疲れるし、男優さんも最近俺達にマッチングされるのは、細マッチョか華奢な受け手の子しかいなくて、あんまりガツガツ抱けない。し、回数も多く打てない。  俺も理央もハーフ特有のしっかりした骨格に、身長もあればそれに見合った体重、筋肉量だしな……。そもそも俺達と一緒くらいの体格の奴が早々いないのだ。  そのへんも昂輝君はゆうにクリアしていて……。まぁ、何だ……どストライクだったってワケで……。  しかも今日抱いてみて、体の相性も抜群に良く、あの可愛い顔が快楽に染まっていくさまも良かった……。  昂輝君を知ってから、その後は色々と調べさせてもらって、奥さんがいる事や、その奥さんが昂輝君に内緒でホストに狂ってる事も知って、ちょ~~っとだけ手を加えさせてもらった。  まぁ、ホストの子に金を掴ませて、奥さんに貢がせれるだけ貢がせろって言っただけだけど……。  その後に、知り合いの金融会社のチラシをホストに渡して、金を借りさせろって促したっけ………?  んで、しばらくその奥さんと楽しく暮らせるだけのお金を握らせて、飽きた頃に捨てて戻っておいでよって見送ってあげただけだ。  そしたらこんなに上手くいくんだもん……。ビックリだよね~?  今の世の中、金持ってる奴が大体何でも手に入れられる……。  「まぁ……勝負はこれからって事かな?」  体はきっと今回で落とせた。後は、心だけだ。  「……、そうだな」  理央も、俺が何を言いたいのか解ってる。  だって元々は俺達、一つだったんだから。 おしまい。

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