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プロローグ

 小さい頃から女子ではなく男子が恋愛対象だった。  でもそれは普通ではないのだと知ったのは5歳の頃。それからは男子に恋をしても隠してきた。  それでも想いを止めることはできなかった。  好きな子ができた。彼は勇者になるのだと、身体を鍛えていた。 「クルト、お前も俺のパーティーに入れ。そして一緒に魔王を倒すんだ!」  好きな子にそう言われてとても嬉しかった。正直魔王なんてどうでもよかったけど、彼と一緒にいられるならばとがんばって剣の練習をした。そうして張り切ったせいか、僕の身体は彼よりもでかくなってしまった。  でも彼は気にしないでいてくれた。  15歳になって彼と王都へ向かった。  石に埋まっているという勇者の剣を抜く為だ。その剣を抜けた者が勇者となり、魔王を倒す旅に出るのだという。  今まで何百人という男性が勇者の剣を抜こうとしたけど誰も抜けなかったらしい。彼に言われて僕もその剣を引っ張ってみたら、なんと剣はなんの抵抗もなく抜けてしまった。  その時の彼の顔が忘れられない。  彼は顔を引きつらせて「おめでとう」と言ってくれたけど、逃げていってしまった。追いたかった。でももう追ったとしても何を言ったらいいのかわからなかった。  王城の関係者だという人たちに「おめでとう、勇者の誕生だ!」と祝われながら、僕は失恋したことを知った。  そして僕は勇者になった。  なんで魔王を倒さなければいけないのかはわからなかった。  魔王がいると魔族や魔物が増える。それらは人間の害にしかならないから魔王を倒せと言われた。  僕はもうどうでもよかった。  僕はそこそこ見目がよかったらしく(ブロンドの短髪で、目は青い)、王女である白魔法使いが率先して着いていきます! と手を上げた。必然的にその友人である黒魔法使い、王女の護衛を担っている女剣士、王女の侍女である拳闘士も付いてくることになり、僕たちは魔王を倒す旅に出させられたのだった。  魔族や魔物を倒すのはかまわなかった。でも毎晩のように誰かに夜這いをかけられるのには辟易した。 「もっと自分を大事にしてください」  そう言って最初の頃は帰していたのだが、そのうち寝ている間に添い寝されたりと気が抜けない日々が続いた。  きっと僕が普通の男だったらウハウハなハーレム状態だったのだろうが、あいにく僕は女性には全く勃たなかった。それで愛想をつかしてくれればいいものを、王女たちは自分たちのいいように解釈した。  曰く、勇者様は高潔なのだと。  そんなわけがない。僕はストレスや性欲を抑えようと鍛錬を続けているせいか、身体はムキムキマッチョになってしまった。でも顔は王女たちの好みらしく、彼女たちが諦めてくれる気配はない。  僕は男性が恋愛対象だし、しかも僕の方が王女たちのように誰かに抱かれたいと思っていた。王女たちが夜這いをかけてくるから自慰もできず、妄想はどんどん肥大していった。  もう、魔物でも魔族でもいいから僕をめちゃくちゃに犯してくれとまで思っていた。  でも魔物も魔族も僕よりはるかに弱くて……。  旅をし始めて三年、ようやく僕たちは魔王城に辿り着いた。  僕はもう魔王に殺されたいとさえ思っていた。だって王女が、魔王を倒したら結婚しましょう! とか言うんだ。しかも友人も女剣士も侍女も妾として娶ってほしいとかいうし。  もう勘弁してほしかった。  だから、この先は危険だからと彼女たちを魔法で王城へ帰した。そう、そんなすごい魔法も持っているのに、僕の望みはかなわない。  魔王城に足を踏み入れる。  魔王城の入口にあった魔法陣が起動した。あれ? と思った時には、僕は広間にいた。  そこには玉座があり、王冠を頭に乗せた妖艶な美女が腰掛けていた。 「よく来た、勇者よ。そなたの戦いぶり見ていたぞ」  僕は剣を下げたままだった。それが魔王だということはわかった。魔王も女性だったらしい。 「そなたは魅力的だ。どうだ、私と結婚してこの魔の国を治めてはくれぬか?」  僕はその場に崩れ落ち、泣いた。 「な、なんで女性ばっかなんだよおおおーーー!!」  そんなこともうどうでもいいから、早く殺してほしかった。 ーーーーー アルファポリスからの転載です。 ビッチ勇者受け、魔王+複数攻め。いつものストレスなくエロエロ仕様で突っ走ります(ぉぃ

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