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1.魔王の本来の姿って
僕に言い寄ってくるのはやっぱり女性だけなんだ。
悲しくなって叫び、勇者の剣を放り投げたら魔王がゆっくりと近づいてきた。
これで僕は殺されるんだろう。これでやっと女性に言い寄られることもなくなるのだと安堵したのだけど、様相が変わっていた。
魔王は僕の前でとても格好いい男性に変化 したのだ。
「えっ?」
精悍な顔つき、逞しい身体を持つ男性は僕の前に膝をつき、「この姿ならどうだろうか」と言った。
「え? え?」
すっごく好みだったけど、意味がわからなかった。
「これではだめか」
魔王はそう言ったかと思うと、今度はもう少し細めのハンサムな男性に姿を変えた。こちらも好みである。
僕はいろいろこじらせすぎていて、もうどんな容姿でも男性であればいいぐらいに思っていた。それぐらい僕は男に飢えていた。
「それとも普通の顔の方がいいのか?」
魔王は顔が普通の、可もなく不可もなくな男性の姿にも変わった。それはそれでかまわないと思う。
僕を愛してくれさえすれば。
「ちょ、ちょっと待って!」
僕はまだ混乱していたけど、更に変化しようとする魔王を止めた。
「ま、魔王の本当の姿はなんなんだ? 女性なのか? 男性なのか?」
それが一番問題だった。もし男性に変化できるといっても元が女性だったらやっぱり嫌だ。
「私は男性型だな」
魔王はそう言うと少年の姿になった。顔がそれなりに整っている、ほっそりとした体格の少年である。白っぽい金髪のサラサラヘアーが肩辺りまで伸びている。目は赤かった。
魔王は少し恥ずかしそうに白い頬を染めた。
「これが私の元の形態だが、この姿はさすがに勇者の好みではないだろう。勇者が望む姿になってやる。なんなりと申せ」
「そ、その姿もいいけど……その……触ったかんじとかも変わるのか?」
「変わるぞ」
魔王は喉の奥でククッと笑うと、先ほどの格好いい男性の姿に変化した。胸筋が素晴らしい。
「触ってみよ」
「う、うん……」
僕はおそるおそる魔王の胸に触れてみた。平らだけどしっかりしている男の胸。僕はむしゃぶりつきそうになる自分をどうにか抑えた。
「では変化するぞ」
魔王は僕の手を胸に触らせたまま、太った男性の姿に変わった。背の高さも身体の質感も変化させることができるなんてすごいと思った。太った男性の姿の胸は柔らかい。それはそれで気持ちいいと思った。
「ま、魔王ってどんな姿にもなれるの、か?」
「どんな、というのは語弊があるが、見た者の姿であれば変化することは可能だ」
「って、ことは僕にもなれる、の?」
「なれるぞ」
そう言って魔王はなんと、僕と全く同じ姿になってしまった。
「わぁっ!」
さすがに装備までは一緒じゃなくて魔王の恰好だが、それはそれで面白いと思った。僕は先ほどの絶望を忘れ、自分に変化した魔王をべたべた触った。
「すごいすごい! そっくりだ……。僕ってこんな容姿をしていたのか」
体格でいえば好みだが、自分と同じ顔をしているので食指は動かない。僕は自分の姿がそういう意味で好きってほどではないんだなということを知った。魔王は首を振った。
「外見も質感も同じようにすることは可能だが、イチモツだけはそうもいかぬ」
「えっ!?」
イ、イチモツって……。
僕は思わずごくりと唾を飲み込んだ。
魔王はまたククッと喉の奥で笑い、先ほどの恰好いい男性の姿に変化した。そして僕を優しく抱きしめた。
「ええっ!?」
「勇者よ、そなたは男に抱かれたいのか? それとも抱きたいのか?」
「え……そんな……」
顔が熱くなる。でもこの魔王は男性型だっていうし、きっと魔王だからそういう偏見とかなさそうだし……とかうだうだ考えてしまう。
「だ、抱きたいって言ったら……?」
「私は勇者を抱きたいからな。それならば勇者に抱かれたいと思う魔族を連れてこようではないか」
何そのご褒美。
魔王は抱かれてはくれないけど、僕がそうだったならそういう魔族を紹介してくれるらしい。思わず声が上擦ってしまった。
「も、もし……抱かれたいって言ったら……」
「そなたが望むように抱いてやろう。そなたが望む姿で、そなたの身も心も蕩かせて……私の妻にしてやる」
「ああ……そんな……」
それは甘美な誘惑だった。
そして魔王の言うことが嘘ではないことにも僕は気づいていた。
でも本当に妻にしてくれるの? 無理してない? と思ったが、腰に擦り付けられるでかいイチモツが僕を欲しいと訴えている。
騙されてもいいじゃん。それが許せなかったら殺せばいいんだし。
そんなことを思いながら、僕は「優しく抱いて……」と魔王にお願いしたのだった。
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さっそくえっちするよ! 勇者は魔法も戦闘センスもチートだよ! でも童貞処女だよ!
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