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第40話 二の怪6

 俺達、高校生の考える、ストーカーを捕まえる計画は至極簡単だった。  まず、ストーカーの特定。  これは重要だった。  間違えた相手を捕まえたりしたら洒落では済ませられない。  ストーカーの特定方法は、下校の際、南を一人で帰らせる、それを離れた所から数人で見張る。  もしも怪しいやつを見つけたら、それぞれが連絡を取り合い、そいつの動向を探り、南を付け回しているやつか見極める、という、シンプルなやつだ。  そうして、ストーカーがどんなやつか確認した後に、そいつがまた南をストーカーしている所を捕まえてやろう、というのが俺達の計画だった。  俺は、かろうじて南が見える所から南の後をついて歩いた。  南の背中を、目を狐のように細くして見ながら南の周辺に異変はないかと見回す。  他の仲間も同じように、南の近くのどこかに潜むようにして、南と南の周辺を見張っている。  誰かの後を付ける、だなんて、今にして思えばこれが初めての事だったかも知れない。  異様な緊張感が纏わりつき、普段、下校の際に見慣れた街並みが一変して、まるで見知らぬ街へと迷い込んだかの様に歪んで見えた。  友人の一人からスマートフォンに、怪しいやつはいたか? とグループチャットが入る。  俺は、いない、と三文字で返信を返した。  他の友人からも、同じよう返信が入る。  南からも、分からない、と返信が入った。  そんな状況が数分続くと、本当にストーカー何ているのかよ、と言う気分になって来る。  こんな調子で南の後を付いて歩いているうちに、駅までたどり着いた。  南はこの駅から電車に乗って帰宅する。  俺は手にしているスマートフォンで、グループチャットを確認する。 『駅まで来ちまったが、どうする?』と、友人の一人からメッセージが入っていた。  顔をスマートフォンから上げて南を見ると、南は駅の改札を潜っていた。  スマートフォンに顔を戻すと、グループチャットで、『ゴメン、駅、入っちまった』と、南。 『仕方ねぇ、ここからは付いていけるヤツだけついて行こう』と、友人A。  ラジャー、だ。  駅には、俺と平川、後、葛(ツズラ)という友人一人が入った。  他の友人はここで解散し、成り行きをグループチャットで見守る形となった。  南は一人、駅のホームに立ち、キョロキョロと辺りを見回している。  俺も南と同じようにして辺りを見た。  ホームには結構な人数がいる。  男に女、子供に年寄り。  はたして、この中に南のストーカーはいるのか。  一体どんなやつが南をストーキングしているのか。 『なぁ、南のストーカーってどんなやつなんだろうな』と、俺はグループチャットにメッセージを送信した。 『想像もつかねーよ。ストーカーだし、やっぱり女かな?』  友人の一人から、そう返信が入る。 『案外、オヤジだったりしてな』と、ふざけた感じで葛からの返信。 『オヤジとか、勘弁してくれよ。こっちは不安でいっぱいいっぱいだってのに』という南からのテンションの低い返信が入り、葛が、ごめん、と謝る。  ストーカーがオヤジだったら確かに嫌だな、と俺は思った。

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