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序章

未分化少年特殊治療棟(みぶんかしょうねんとくしゅちりょうとう)ーー とある町のとある大学病院に設立されたその特殊な病棟には性に精通した4人の医者が、今日も悩める少年たちに特殊な…そして少しえっちな治療を施していた。 MAX8人のキャパの棟には現在4人の少年たち 悲鳴に泣き声、怒号に嬌声…いろいろな声が響くそこは逃げ場のない牢屋と変わらない 後期研修医遠野未羽(とおのみわ)はその少年棟へと本日配属された。 ・ ・ 「今日から今度は研修医としてお世話になります。遠野未羽です」 平均よりも小柄な体躯に子どものような幼い顔立ち、声変わりはしているもののまだ少し高めの声で未羽は挨拶をした。 「みぃ。おまえ、可哀想にな。何も初っ端からこんな科に配属されなくてもね」 そう答えるのは佐久間由宇(さくまゆう)医師。かつての未羽の主治医で、今日からは未羽の指導医になる 未羽は今から約10年前入院していた元ここの患者だった。 本当は少年棟ではなく、小児科への配属が希望だったが、精神的に耐えられないと人事部に判断され不適合の判定をもらい、変わりにここ少年棟への配属が決まった。 縁、なのかもしれない。 「お2人って元患者と担当医なんですよね?」 未羽の入院当時はいなかった医師で未羽の5年上の先輩、相馬道隆(そうまみちたか)が尋ねると、医局長の佐渡琢磨(さわたりたくま)が答えた。 「ああ、その通り。なかなか手のかかる子だったと記憶しているがここまで成長してくれて嬉しく思うよ」 そんなあいさつの様子を興味なさそうに自分のデスクに座りながら見つめるのは副長の紫藤縁(しどうゆかり)。眼鏡の奥の目は色素が薄く、視線は冷たい 髪も白に近く男にしては長くウェーブのかかった髪をなびかせ立ち上がると 「私は自分の仕事がありますので失礼させていただきます」 「紫藤?ホルモン注射の時間か?手がいるようなら電話しろよ?」 「分かりました。局長。では…」 「えと…なにはともあれ、少年棟へようこそ。よろしくね?未羽」 相馬らは未羽の入局を歓迎した。 未羽はかつてのおそろしい場所に不安はあるものの期待に胸を膨らませ、お辞儀をし元気に声を放った。 「よろしくお願いしますっ」 未羽の少年棟医師としての生活が始まるー

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