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由宇 意気消沈
「由宇くん?泣いとるん?」
「…」
「先生行ってもうたし…呼びなおしたろか?やるだけやって置き去りとか悲しいやんな?」
由宇は首を横に振った。
「先生忙しい人やから堪忍な?祖父江先生と2人で切り盛りしとるでどうしてもケアがおざなりになるねん」
「嫌い…。別に呼ばなくていい。それよりこれで治んなかったら恨む」
「大丈夫やて」
「何を根拠に?誰か1人でも退院したわけ?」
「あ…そ、それは…まだ一期生やから誰もおらん。せやけどな、俺らは治るって信じて仕事してんねん。けど、治る気のないやつはこっちがどんなに頑張っても治らん。治るかどうかは由宇くん次第や。由宇くん自身が治る気でいるならこっちは全力でやらしてもらう」
「周防さん…」
由宇は隠していた手を下げ、周防の顔を見た。
真剣な顔に由宇は言い返さず、頷いた
「ええねんで?泣いて。瀬谷先生は泣かれるん嫌がる人やけど俺はハンカチの変わりになるくいなんでもないで?」
「ありがとう」
「お礼言えるんや?子どもやと思っとったけどお礼と謝罪ができれば立派な大人や。治療も乗り越えれる」
「赤ちゃん扱いもうしない?」
「それはたぶんする思うで?」
周防の返事に由宇は笑った。
「はは。そこはさ、しないって言いません?」
「駄々っ子になるやん?自分」
「それはぁ…」
「涙止まったな?そしたらトイレ行こか?」
「う…うん」
「肩貸したるから、ゆっくり起きあがりぃ?」
「は?ついてくんの?早速赤ちゃん扱いとか微妙なんですけど」
「これはしゃあないねん。検査後すぐの排尿は観察して記録に残すよう指示されてんねん」
「あー…恥ず」
「ガーゼは横のゴミ箱捨ててな?」
「分かった。う〜…ってぇ…」
「真っ赤やないけど…血が混じっとる」
「え?瀬谷先生、失敗?」
「ちゃう。検査後あるあるやから大丈夫。続くとあかんけどな?」
由宇は尿を出し切るとふらついた
「おっと」
慌てて周防は由宇を抱きとめ
「ちょっと…歩かせるん不安やな。便座座って待っとり?検査室備え付けの車椅子があるから」
「え?大げさ」
「どあほう。急に失神してみぃ?流血沙汰やで。おおごとになる」
由宇を便座に座らせると、車椅子を取りにいきなかば無理矢理に由宇を車椅子に座らせ
「さ、帰ろな?」
病室へと周防は車椅子を押していった。
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