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周防 説教される
手を離されると由宇は涙ぐんで2人を見た
「ふっ…ぅう……っ」
「えらいえらい。つらい処置なのによく頑張りました」
「あんまり泣かんかったやん?強いなぁ自分。カッコいいで?ほんま」
2人に褒められて由宇は照れて横を向き顔を隠し
「うるさい…。もう終わったんなら、帰れ」
「はいね」
「また終業前に顔を見にくるけど、よぉ寝ぇや?で、早よよくなりぃ?」
「じゃあ行きますか、周防」
「はい。師長」
ステーションへと帰る途中、真尾は口を開いた
「周防…。さっきのはよくなかったと思います」
「う…」
「いたいけな子を脅しちゃダメでしょう?」
「せやけど…」
「反論するのも減点。それに鑷子 を投げるとかいただけません。備品は大事にね」
廊下を歩きながら周防は真尾からお叱りを受けていた。
「あんまり酷いと追放しますよ?」
「そんな…っ、俺はここで一人前になりたい思てます。追放なんて」
「脅されるの…気持ちよくないでしょう?」
「はい…ごめんなさい」
「よろしい」
真尾は笑みを浮かべ、周防の肩をポンポンと2回叩き、ステーションへと入りコーヒーマシンを起動させた
「周防は患者思いでいいナースだと思うよ。今後に期待しています」
「師長…」
「いつか周防が先輩になる時に恥ずかしくないようにはこちらも指導するので、お互いに頑張りましょうね」
出来上がったコーヒーを真尾は周防に渡し
「じゃあね、僕はあと少しで師長会だから」
書類を手にとりステーションから真尾は本院の方へと歩いていった
「行ってもうた。これどないしよ…ブラック飲めんのやけどな、俺。まあええか…ありがたくいただいとこ」
ゴクっとひと口飲み周防は顔を歪め
「苦っ…」
舌を出し、口の端をあげて笑った
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