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由宇 膀胱留置
「由宇くん、部屋入るで?ええ?」
由宇からの返事はない。
「あー…かなりしんどそうだね?」
師長の言葉に短く由宇は尋ねた
「だれ?」
「師長さん」
「何?」
由宇は表情を堅くし身構えた
「警戒してるね?」
「そりゃ知らない人が来たらするっしょ?」
「それもそうだ。僕は真尾 だよ。一応看護師長やらせてもらってます」
「は?魔王!?」
「…違います。他の子もそれ言ってたけど魔王じゃないから。真実の真に尾っぽの尾ね」
「ふーん…なんかいやなものが見える」
「膀胱留置カテ入れるで?」
「うっとうしいからやだ」
「嫌でもやらなあかんの。暴れるんやったら今他科に応援行ってもうてるけど後2人日勤者いてるからみんなで押さえつけて留置したる」
「分かった。分かったから」
「んー…周防、減点。脅しダメよくない」
「せやかて!師長っ、由宇くん脅さな言うこと聞かんやん」
「まあ周防のお説教はあとでするとして…入れちゃいましょう。はい、準備」
緩やかなテンポで話し、真尾はパンと両手を合わせた
「待って?周防さんがやんの?」
「そうや」
「師長さんは?」
「僕はこの子の教育担当なの。誰にでも初めてのときってあるわけで…未来の看護師育成貢献のために協力してね?」
「はじめてや無いんやけど?経験浅くて苦手なだけで」
「はじめても浅いも患者さんからしたらおんなじですね」
「緩いしゃべりかた…何歳?」
「よく言われます。35ですよ」
「若っ」
「んじゃはじめんで?」
「由宇くんは手を握っててほしいタイプですか?」
「どうでも…痛いもんは痛いだろうし。前にやった時は意識無かったけど、今日は意識あるからちょっと怖ぇけど」
「消毒すんで?」
周防に陰茎を握られ、消毒の綿球を押し当てられると由宇はビクッと体を揺らした。
「…っ」
「後2回な?」
「う〜…この時点でなんかもうやだ」
「最後」
「い゛っ」
「悪い…ちょい奥消毒したで痛かったん?」
「逃げたい…」
「あかん。すっすっと入れたるであんよ、パカンってしぃ?」
真尾は2人の様子を見て無言で由宇の両手を頭上にあげ、左右の手を顔の横に付けて軽く由宇を押さえつけた
「や…なんで?」
「泣きそうな顔してる。手が出てくると不潔になるからごめんね?ちょっと持たせてもらいます」
「…っうぅ……っ゛、い゛った…」
由宇は足の裏をベッドに付け突っ張らせて耐えようとしたが、周防が陰茎から手を離し由宇の太腿をトントンと叩き
「お尻つけて、力抜きぃ。余計痛いで?」
さっと陰茎を再び持ち、挿入していった
痛みに由宇は声をあげることもできず真尾の手を強く握った
「OK入った。後固定して終わりや!」
バッドの上にカランと周防はピンセット状の道具鑷子 を放った
「周防、鑷子を投げないで。備品です」
ピシャリと周防にお叱りをすると、由宇の手を真尾は離した。
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