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般若祖父江2

「いぁぁあーっ」 叫ぶことしかできず由宇は叫び、掴むものもなく自分の手をきつく握りしめた。 「あまり叫ぶな。声が枯れる…後、爪切り済みだから大丈夫だとは思うが手が切れるぞ」 「そんな……言ったっ…てぇっ。いーったぁ」 「堅いなぁ…実に堅い。器具入るか?」 「きぐ…?」 「余裕があるな?しっかり聞いてるとは」 痛がりはするが、自分の言葉に反応する由宇に祖父江は感心した。 「聞いてるなら説明してやる。いまから拡張ポンプを入れる」 「なに…それ」 「簡単な話だ。楕円の風船状に膨らむシリコン器具を由宇の直腸内に挿入し、段階をおって拡張していく最大径11cmまでいける構造だが…まあ無理だろうな」 「やだーっっっ」 聞くなり由宇は逃げの姿勢をとり、点滴スタンドを倒し腕に付いている針を抜きベッドから降りた 「おっと…こら!自己抜針するかっ」 由宇から指が抜け祖父江は追いかけたが、由宇は俊敏な動きを見せ扉の取手に手をかけたが扉が開かずガタガタと扉を揺らした 「嘘…なんでっ」 「ナンバーロックになっていてね…開かない。ナンバーは定期的に変えてるから俺らしか開けられない。出たければどうするか…言わずともわかるだろう?」 「や…やだ…」 由宇は壁に背をつけずるずると床に座りこんでいき 「こ…来ない…でーっやぁ!嫌ってばっっ」 「往生際が悪いな。手癖は悪いと思ったが…検査中に逃げるとは」 「ひ…ひっく…うぇ…も…やだ。帰してっっ出して!ぅああっ」 「弱ったな…しゃくりあげて泣くとは。これ、口に入れて」 祖父江はポケットから取り出した錠剤を由宇の口に押し込み 「やぁっ」 包みを床に捨てると由宇の前に白衣の裾が床に付くのも気にせずしゃがみこみ、壁から引き剥がし由宇の腕から流れている血を気にもとめず由宇を抱きしめた 「?」 「じきに溶けて眠くなる」 意図が分からず由宇は身を堅くして震え、うろたえた 「い…いや…離して」 祖父江は何も言わず由宇の腰元をさすり、ポケットからPHSを取り出し電話をかけ 「今日は厳しいな…」 〝中止かい?〝 「そうせざるをえない。来れば分かる」 〝とりあえず迎えに行くよ〝 祖父江はうとうとしだした由宇の腰をさすりつづけた 電話の後すぐに横開きのドアが開いた  見える光景に瀬谷は祖父江と顔を見合わせて頷き 「不穏か?」 「すぐ対応できるよういつも忍ばせてるものを緊急投与した。あとで処方は書くが…慣れないものを飲ませたから鎮静がかなりかかってる」 「分かった」 「目覚める前に対策を考えた方がいい。この子は院外脱走する可能性が高い」 「おいおい…まさか拘束しろと?」 「やむを得ないのでは?」 「しかし…」 「おまえがやれないなら俺がやる」 祖父江は再びPHSを取り出し、電話をかけだした

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