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由宇 保護観察室入室

「は?それはもう決定ですか?保護観察室に入れるだけで十分では?あそこは24時間カメラが付いているんですから」 明らかに不機嫌な口調で真尾は祖父江に聞き返し、指示を拒否した。 〝そうだ。すぐに準備をしてほしい〝 「必要ですか?精神科じゃないのに保護室があること自体謎ですけど抑制(よくせい)までなんて…拘束反対派なんですが?僕は」 〝きみの考えもあるだろうが、必要だからこうして指示を出している。先日の他害にくわえて自己抜針、逃走…かなりの不穏(ふおん)だ。理解できるまで抑制する〝 「倫理的にいかがなものかと?まずは保護観察室で一時様子を見て…」 熱心に言う真尾に祖父江はしばらく考え口を開き 〝…分かった。きみの言うとおりにしよう。ただし、万が一の時にすぐに拘束できるようにベッドにはつけておいてもらいたい。きみらには苦労をかけるが30分おきの観察を〝 「分かりました。開放は?」 〝食事時のみ付き添いで食堂へは許可する〝 「体が治る前に彼の心が病みますよ」 〝そうならないようにするのが俺らの腕の見せどころだ〝 長い電話が終わり、祖父江はポケットにPHSをしまった 「魔王がお怒りだ…」 「そりゃね…真尾師長はそういうの嫌う子だから。クビ飛ぶの覚悟で患者を守る子だよ」 「小児科時代から真尾は患者熱心で感心するし、頭が上がらないな」 すっかり寝落ちた由宇を瀬谷は横抱きにし、祖父江は由宇の股間にタオルをかけ、ナンバーロックを解除して扉を開け瀬谷とともに保護観察室へと向かった。

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