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周防 頭を抱える
「あかん…由宇くんおらん。どこ行ってもうたんやろ」
消灯の時は確かにいたのに、点滴の入れ替えに行ったらいない…
「あ〜…点滴、落ちきっとったら刺し直しや…泣くやん。嫌やわ」
ぶつぶつ言いながら風呂場や食堂を探した。
「夕べはステーション侵入やろ?今日はどこに忍びこんでんねん…あの子の前世忍者か?」
ティンティロティロテンテン♪
ナースコール曲メヌエットが静かな病棟に響いた
「コール…誰や?臣くんからや。はい、どうしたん?」
〝助けてっ〝
「え?その声由宇くんか?なんで臣くんとこ」
周防は臣の部屋へと、小走りし
「なっ…」
状況を飲み込むのにしばらくかかった
2人とも下半身すっぽんぽんで臣は…呆けた顔をし、まだ勃起をしている
周防が臣の脈をとり、睫毛を触ると臣はまばたきをし反応を示した
「睫毛 反射あるな…よかった。意識はあるようやけど…自分ら下半身すっぽんぽんで何しとったん?」
「えと…その、エッチなことしてた。臣のナカ触ってたら突然びくんびくんってナカがなってイクって叫びながらそんなんなっちゃってっ!どうしよう?死んじゃう?ねぇっ周防さん!臣、死んじゃうの?」
「違う意味で死んどるわ。安心しぃ。臣は気持ちよーなりすぎただけや」
「え?」
「だから、イってぐったりしとるだけってこと」
周防は臣の身を綺麗にしていき、服を着せて布団をかけた。
「イってって…臣、射精してないけど…」
「ドライイキ言うてな?おしりんナカでイけるスポットが男の子にはあんねん。由宇、テクニシャンなんやな?って褒めとる場合やない…どうするん…これ。看護記録にこんなん書けへん。由宇もズボン履きぃ」
「書くの?分かった履く」
「そりゃそうやろ!消灯後に所在不明なんやから。んー…患者トラブルでも無いし何に当てはまるんやろ?」
周防は頭を抱えて考え、転けないように由宇がズボンを履くのを周防は見守り、点滴のチューブが赤くなっているのに気がつき
「あ、あかんっ。点滴!」
「あー…無いね」
「無いねやないやんっ。血が逆流してもうてるし…部屋、帰るで!刺し直しやっ」
「えーっっ」
周防は嫌がる由宇の手を引っ張りステーションへと向かった。
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