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由宇の涙
昼過ぎ、由宇はままったく食事を摂らずに窓の外を見ていた。
そんな由宇を見て
「由宇くん…食欲無いん?まあ、さっきまで酸素なくて溺れとるような状態やったから無理やろうけどちょっとでも食べてくれんと周防さん悲しいで…」
臣の対応が終わり周防は祖父江の言いつけどおりしっかり昼休みをとり、由宇の部屋に来ると椅子に座り由宇の頭を撫でた
「ごめん…なさい」
「俺にあやまらんでもええよ?ただ、臣くんはさっきめっちゃお仕置き…ちゅうかかなりハードな治療?されとったで由宇くんもそのうちされるやろな。普通ならもっとやさーしくやったるとかして気ぃ使って進めてくれるんやけど、お仕置き兼ねて容赦なくやられたとったで」
「うん…覚悟してる。臣、泣いた?」
「うん。でもたくさんごめんなさいして許してもらえて、いまは泣き疲れたのもあってお昼寝しとるで」
「そっか。なんか悪いことしちゃったな…俺が逃げちゃおっかなんて…言ったから」
「過ぎたことはしゃあないって」
「でも…やっぱ責任感じる。俺、自分の状態もよくわかってなかったし…なんか、恥ずかしい」
「そっか。ほんならゼリーだけでも食べよな?食べさしたるで」
「うん」
由宇は周防に介助され、涙を浮かべながらゼリーを食べた
「うん、えらいえらい。早よよくなるとええな?もうすぐ誕生日やろ?」
「うん…」
「学校出たら何になるん?」
「臣が…俺が医者になんの楽しみにしてる。なれると思う?」
「どやろ?俺はあんまり成績よーなかったけど看護大は入れたで?頑張ればなんとかなるんちゃう?ここには教えてくれる人いっぱいいてるし。そのためにはやっぱり早よよくならなな?もしほんまになれなら一緒に働けるとええな?」
「うん。なれるといいな。でも、ここに入院してたことは言えないや。恥ずかしすぎる」
「汚点なん?」
「だって泣き虫だったとか封印したいし…絶対今度お仕置きされたら泣くし…まだこれからもきっと泣いちゃうもん」
「そっかそっか。そしたら慰めたるな」
周防は由宇を撫で、由宇は目を閉じ
「ごめん、周防さん…俺、寝る」
「ええよ。おやすみぃ」
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