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瀬谷はやっぱり鬼?
ステーションに帰った瀬谷は後処理をしていた真尾に近づき
「大丈夫かい?入院中なんだし、無理しないように」
「ご心配ありがとうございます」
「ところで周防の…指導者なんだが、誰になる?」
「うちはみんなで教えてる感じです。他病棟はペアがつきますけど…どうされたんです?何か不手際か粗相がありましたか?」
「うん、臣の治療中に性的に反応してしまったようでね。一応最後までは処置1にいたが、臣から視線そらしてちょっと職務に差し支えていたから指導した方がいい」
「そうでしたか…。まあまだ若いですし、彼…その…同性が好きなタイプのようなので自制が効かなかったんでしょうね。指導します」
「頼むよ。それと…」
リカバリールームの方に視線を移し
「由宇の治療をね…明日やるから」
「え?明日?」
「そう。先延ばしにしたところでよくなるわけじゃないし、退院が伸びていく一方だからね」
「やるのはいいんですけど…彼、いま酸素必須ですよね?どうやって…」
「リカバリーでそのままやるからいいよ。モニターもしながらじゃないと不安だしね」
「えと…お手柔らかにお願いしますよ?」
「痛がるからあまりやれていなかったが、お仕置き口実にがっつりやるつもりなんだが…」
「えぇ…鬼ですね」
「とにかく、ベッドサイドにモニターの支度を明日してほしいと伝えてくれるかい?治療があることは本人にはその時に伝えればいいから」
「分かりました。あの…僕におとがめは無いのですか?」
「伝達が無くて知らなかったわけだからおとがめもなにもないと思うが…報連相の重要性が下に伝わっていなかったところはよろしくなかったね」
「やっぱりそうですよね。何かあればすぐに報連相するようにもっと指導すべきでした」
「まあそれについては祖父江が…何かしらするんじゃないか?」
「祖父江先生?なんで…」
「君らの関係を把握していないとでも?」
「う…うそっ…なんで…知って!」
「ん?かまをかけたつもりだったがやはりそうなのかい?」
「な…やっぱり鬼ですね、先生」
「君の診察は祖父江の許可が必要かな?」
「どういう?」
「カルテを見たが、石に水腎症だろう?餅は餅屋だと思うが…場所が場所だからどうなのかと思ってね?」
「う…。祖父江先生がOKしてもやぁです。エコーだけならいいけど、脱ぎたくないです」
「シャイだね」
「診察…しなきゃダメですか?祖父江先生にちゃんと診てもらいましたけど、、」
「そりゃあね、君だけ特別というわけにはいかないんじゃないかな」
「か…考えます」
瀬谷は真尾の肩を2度叩き
「深く考えないように。ストレスはよくないからね。じゃあ、また」
「おつかれさまです」
にこやかにステーションから立ち去っていった
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