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かおる 自然気胸

放射線科に着くと、かおるはレントゲン台に移された 「放射線技師です。確認のため名前をいいですか?」 「仁科(にしな)…かおる」 「腕のバーコード失礼しますね」 技師はかおるの患者識別バンドのバーコードを機械で読み取り 「本人照合できました。お願いします」 「お願いしまーす」 「かおる、撮るのは1枚だけだからすぐ終わる。俺とみぃは奥の操作室に入るから。部屋に1人になるけど大丈夫な?」 「大丈夫」 「さすが強いな。じゃお願いします」 操作室に入ると佐久間はパソコン上に映ったかおるのレントゲンとかおるを窓越しに交互に見て顎に手を置き 「あー…ビンゴ。気胸だ」 「先生あの、これ…です?」 「そ。精査目的でCTするよ」 佐久間はマイクの電源を入れ 「かおるー、機械変えてもう一回な」 ガラスの向こうのかおるはやる気なさそうに右手をあげた。 佐久間は電話を手にし 「千歌?かおる気胸で間違いない。今からCT撮ってすぐ処置入るから処置4に来て」 〝分かった。ドレーンは挿れる?〝 「そうなるな。素直にやらせてくれりゃいいけど」 〝準備はできているんで待ってます〝 「さてと…戦うか」 「先生、対応できるんですか?」 「いや…あの人に頼む」 「あの人?」 佐久間は再度電話をとり 「先輩?先輩って胸腔(きょうくう)ドレナージって対応できます?」 〝誰?〝 「かおる。自信無いんで頼みたいんですけど、いいです?」 〝分かりました〝 「処置4で千歌が準備してるんでよろしくお願いします」 電話を切ると、佐久間と未羽はいたって普通の態度で、かおるの元に戻りストレッチャーを押し病棟へと戻った

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