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かおる 治療に泣く 2

かおるはチラッと見えた道具に怯み、顔を歪ませ 「ちょ…ちょ、待って…管?管あったよな?何されんの…俺」 「何って…治療ですね。千歌、手を握ってる最中悪いですが切開部位マーキングしますよ」 「あ、はい」 「イソジン消毒とドレープ用意」 「はい」 「え…ちょ、聞いてる?」 「黙ってください。集中したいので」 「……っ」 「消毒です。動かないでください」 かおるは脇腹に布をかけられて身を震わせた 「メスを…」 「はい」 「なっ!切んの!?無理っ」 「千歌、かおるのところに戻って大丈夫です。手が出てこないようにしっかり握っていてください」 「分かりました」 「落ち着けっかおる!麻酔をしっかりしたから痛くない」 パニックになりかけているかおるに佐久間は声をかけたが、かおるの耳に届かず 「やだぁーー」 痛みはないもののその感触にかおるは叫んだ 「切開終了。次、ペアンでトンネル作るので押さえてください」 紫藤は切り開いた部分にハサミのような器械を差し込んでいった 「……え…ちょ…う゛…った…いたい…?なんで…い゛ーっぁあっ」 「やめ…っう…いた…」 「次、ドレーン挿入して縫合(ナート)しますよ」 「ちょ、……も、むり」 「て、言われましても…開通してますからそのままにはできませんよ?管を通すのでじっとしていて」 「やっ…いやって!」 「佐ー久間!」 紫藤が佐久間を呼ぶと佐久間は頷き、かおるの顔を見て 「はい。かおる?怖い?落ち着いて。俺の目見れる?」 「怖い…怖かったらいけないかよっ」 「大丈夫。当たり前の感覚だから。俺なら逃げてる。ちょっとでもスムーズに治療できるようにちょっと体を押さえるな?」 「勝手にしろ……」 佐久間に体を押さえられるとかおるは目を閉じた それに気づいた紫藤がすぐに制止し 「かおる、やめなさい。目は開けていた方が楽です。千歌が好きなのでしょう?千歌でも眺めてなさい」 「…っ…う、うん」 「頑張ろうね?かおるくん」 千歌はかおるの手を硬く握りしめ、かおるを励ました

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