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怒怒縁さんに電話の裏側
ようやく電話が鳴った…ほっとして涙が頬をつたいすぐにでも電話に出たい気持ちが湧いたが、その一方で怒りの感情が込み上げてきた。
なんで今の今まで連絡がなかったんですか?琢磨さん…
そのまま電話に出ると感情が爆発してしまいそうで、深呼吸をし一 呼吸おいて電話に出た
「今、あなたの時計は何時ですか?」
〝すまない…縁。急な治療で…っっ〝
だったらスタンプを押すくらいできたはず…
くやしい
「で?」
〝雅宗が尿路結石になって、てんやわんやだったんだ。電話を忘れて悪かった〝
「まさむね…?は?」
誰ですか…それは……っ
〝あ、いや…だから周防雅宗!看護師の〝
あの自分の素を平然と出し、天真爛漫といった感じのピアスの…看護師
彼は…おそらく私と同じ…Mだ。
いつも一緒にいる看護師…牟呂といる時の雰囲気は甘く、想いあっているのを感じる
しかし、なぜ…琢磨さんが彼を名前で呼ぶ?
意味が分かりません
「いつから下の名を呼ぶ関係に?苗字で呼ぶのは味気ないと私の名を呼んでますけど、同じ理由ですか?」
〝違うっ。落ち着け〝
落ち着いてなどいられない…
「定時の17時に帰れば20分には家にいるはずです。違いますか?」
〝その通りだ。けど、治療が…っ〝
医師は他にもいたはず…
なぜこのタイミングで?
「なんであなたが?そもそも本当に彼は発症しているんですか?」
〝どういう?まさか、浮気を疑って!?あいつと俺が?あるわけないだろうがっ〝
「Mだから分かるんです。彼もMですよ。あなたの嗜虐心 をそそるのでは?」
そのまま通話を切った
ただ、怒りがおさまらなかった
おそらくはこの感情は〝ヤキモチ〝なんだろう…
本当は、寂しかった。連絡がついて嬉しい琢磨さんと言えればよかったですが、到底言えませんでした。
そのまま紫藤はソファに転がり、うつろな目で天井を見上げた
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