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紫藤 発作
佐渡が自宅へと帰るとヒューヒューと苦しそうな呼吸をする紫藤がベッドサイドに机とその上に枕を置いて突っ伏し発作の苦しさに耐えていた。
「縁。吸入薬は?」
「吸い…まし…た。ごほごほ…っ」
「あーすまん。しゃべらせたから咳が…っ」
「だい…じょぶ…です。ヒューっごほごほっ」
「縁っ」
佐渡は紫藤の背をさすり
「顔色がよくないし、呼吸の状態もよくない。吸入薬も効いてないようだし救急車を呼ぼう」
「お断り…します…っけほ」
「なっ何を言って…っ」
「インフルエンザに罹患している私が行けば迷惑になるっ」
「だからこそ病院に行った方がいい。すでに少年棟はインフルパニックだからおまえ1人が増えるくらい変わらない」
「嫌っ」
「嫌じゃない!引きずってでも連れていく」
「嫌ぁーーっごほごほごほ」
「あーっ縁っほら、興奮するからっ」
嫌がる紫藤をなだめながら佐渡は救急車を呼び、少年棟へと電話をかけ
「佐渡です。入院まではしなくても大丈夫でしょうけど発作止めの点滴を…」
〝分かったよ。すぐにやれるように支度をして待ってる〝
「ありがとうございます。瀬谷先生」
電話が済むと佐渡は出かける用意をし救急車を待った
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