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第19話〈黒木〉※
「ひやぁ……っっ、アッ、そこ、だめ……っ、ンあぁ……ッ!」
『……イイ……きもちい……もっと……』
「今日は口と心がちぐはぐだな? ダメなのか? もっとか?」
クッと笑いながら問うと、「……お……まえっ」と真っ赤な顔で涙を浮かべて俺を睨んできた。
「お前……いじめっ子……だろ……っ! 絶対いじめっ子だな……っ?!」
「ははっ、すまん、つい」
「……黒木の……あほうっっ!!」
「ちぐはぐなんて初めてだからなんか可愛くて。すまん。もう言わない」
「……ばかっ! たこっ!」
頭に手をポンと乗せ、まだキャンキャン言いそうな口を唇でふさいだ。
「んぅ……っ、……ン、…………はふ……」
『キスでごまかすな……っ!』
『ごめんな。ちゃんと、もっとさわるから』
「んぁっ、ん……っ、ンンーーッッ」
『……黒木のあんぽんたんっ!』
思わず吹き出した。
野間の照れ隠しがあまりにも可愛すぎて、もうたまらない。
『もっと気持ちよくなれ、野間』
『…………もうとっくに……ずっと気持ちいわっ……あほう……っ』
『そう怒るな。ますます可愛いから』
「……んっ、……ふぁ……」
本当にキスが好きなんだな、とキスで大人しくなる野間に笑いがもれる。
舌を絡めながら野間を見た。紅潮した顔で目をトロンとさせて俺を見つめてる。手の愛撫に合わせて唇の隙間から声をもらす。ほんと……可愛すぎだろう。
もう俺のそこはガチガチで痛いくらいだ。
もういいだろうか。ローションを手に取って野間の後ろに塗ると「ひぁっっ!」野間の腰が浮いた。
『冷たっ。びっくりしたっ』
「あ、冷たかったか、すまん」
指と手のひらで温めるように伸ばすと、それだけで野間は可愛く鳴いた。なにをやっても反応が良くて嬉しくなる。
ゆっくりと指を野間の中に入れてみた。
「……あ、……ぁ、……ん……」
『あ、指っ、指入ってきた……っ。やばいやばいやばいっ』
野間がシーツをぎゅっと握りしめた。その手を取って指をからめると、少しホッとした顔になる。
「痛くないか?」
「……痛く……ない……、……あ、あっ」
すごいキツイ。こんなにキツイのに本当に入るのか……? 広げるようにってどうやるんだ……?
さすがの俺も緊張してきた。
奥まで入れた指をゆっくり広げるように出し入れしながら、野間の気持ちいいところを探す。
野間は小さな声と吐息をもらしていたが、だんだんと足が震えてきた。
「……ンッ、……ぁ、……あっ……」
『ま……まってまってまって……』
「どうした? 痛いか?」
『なんかわかんない……わかんないけど……気持ちいかも……。あ、そこ……』
「ここか?」
「あぁっっ!」
野間の腰が浮いて一際いい声が出た。
これか。覚えたぞ野間のいいところ。
「ああ……っっ、ンッ、ん……っ! やぁ、ずっとだめっ、へんになるぅっ! ああぁ……っっ!」
『やべぇやべぇすげぇ気持ちいやべぇってっ!』
「そんなに気持ちいのか?」
後ろが時々ぎゅっと締まるのは気持ちいい証拠だろうか。
だんだんと柔らかくなってきて、指を増やしても野間はずっと喘いで気づいていないようだった。
『まってまって黒木っ、ずっとそこばっかだめだってっっ!』
「はぁンッ! あぁ……っ、やっ」
「でも気持ちいいいんだろ?」
「まってっ、くろ……っ、ああっ、やっ、まっ、おれまた……でちゃうぅ……っ!」
野間の手が伸びてきて、俺の腕をぎゅっとつかんだ。
首を左右に振って「だめ……っ」と一言、喉からしぼり出すように言った。
「野間……?」
ゆっくりと指を抜くと野間は「あぁ……っっ」と身体を震わせた。
「田口……が……」
「田口?」
口を開くのがしんどいのか、野間は心の声で続けた。
『田口が……イッた直後は入れられるのつらいって言ってた』
「……ああ、言ってるの見たな……」
『俺……続き出来なくなるの……嫌だ』
「……そんな心配しなくても、大丈夫になるまで待つ」
野間がまた首をゆっくり振って、トロンとした目で俺を見つめた。
『も……俺、全身とけちゃいそう……。溶けてなくなっちゃいそう……。もういいから……だから……だから……』
その続きは聞かなくてもわかった。
この先の俺たちを想像した映像が見えてきたから。
見てしまったら俺の想像も止まらなくなった。
顔を真っ赤に染めた野間と見つめ合う。
頭の中が野間と完全にシンクロした。
野間の腕が首にまわって、俺たちはどちらからともなく深く唇を合わせた。
「……んぅ、……ン、……はふ……」
もうお互いにたどたどしい感じはない。自然と舌が絡み合う。ビリビリと頭の芯がしびれた。
離れがたくなるほどとろけそうなキスを交わし、チュッと唇を離した。
「……いいか?」
「……うん」
脳内ではもうお互いにこの先を見ている。抱き合っている。同じものを想像している安心感で幸せになった。
準備の終わった俺のものを野間の後ろにふれさせた。
「……怖くないか?」
「怖いより……期待のがすげぇ……」
「田口のを見たからな」
二人で目を見合わせて笑った。
「……入れるぞ」
「……ん……」
少し押し進めると、想像よりもキツかった。
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