「は…………、あ……っ」 「キツイ……けど、痛くないか……？」 　野間は声が出せないというように首を横に振った。 『……黒木が入ってくるっ。やばいっ。ドキドキすげぇ……っ。心臓壊れそう……っ。やばいやばいっ。黒木が俺の中に……っ。すげぇやばい。心臓苦しいっ』 　野間の心は、痛いとか怖いという感情がなにもなかった。 　心臓が苦しいくらいドキドキしてる野間に、俺のほうがドキドキする。 　俺はゆっくりと野間の中に入っていった。 「……はぁっ、……あっ、くろ……き……っ」 「野間……ぅ……」 　半分ほど入ったところでキツさが増す。 　ローションが足りないのかも。傷つけたら大変だ。そう思って一度ゆっくりと引き抜いた。 　 「……んんっ、はぁっ、……くろき……」 「ん、すまん。もう一度いくな？」 　ローションをたっぷり足して、もう一度ゆっくりと野間の中に入った。 「はぁ……っ！　あ……、ん……」 『黒木……優しい……嬉しい……なんか泣きそう……胸、痛い……』 　 　野間の感情が流れてきて、俺も切なくなった。 『野間……』 『黒木……』 『キスしたい』 『キスしたい』 　また心がシンクロして、まるで吸い寄せられるように俺たちは唇を合わせた。 「……ふぅ、……ンッ、ぁ……っ、ンン……ッ」 　夢中で舌を絡め合って深いキスを交わしながら、慎重に野間の中に自身を沈めた。 　野間と繋がってる。夢じゃない。嬉しくて柄にもなく泣きそうになった。 　野間の中……やばい……信じられないくらい気持ちがいい。理性を保っていないとひどくしてしまいそうで怖い。大事にしたい……。 　やっと奥まで届いて、無意識に詰めていた息をゆっくり吐き出した。 「……は……ぁ……。野間……平気か……？」 「……ちょ……と……このまま……がい……」 「あ、痛いか？　無理するな」 　野間が痛い思いをしてまで無理に最後まですることはない。そう思ってゆっくり引き抜こうとした俺に、野間がしがみつくように抱きついてきた。 　 「や……っ、だめ……っ、痛くない……から。ぬ……くな」 『ちょっと……苦しいけど、嬉しい……。黒木が優しすぎて嬉しくてやばい……。どうしよ……すげぇ嬉しい……』 　 　野間……可愛い野間。可愛い……もう可愛いの言葉じゃごまかせないくらい……可愛い。 「ごま……かす……？」 　野間に聞かれてハッとした。 「いや……野間が……可愛すぎてやばいんだ」 「だから……その可愛いって……なんだよ……」 　野間がふわっと笑った。 　 『もう俺「可愛い」でいいや……。黒木に言われるのは嬉しいから……』 「も……ほんと、野間……可愛い……」 　耳元でささやくとビクッと身体を震わせた。 『……なんか……後ろ……うずいてきた……。黒木が中でドクドクしてて……なんかうずく……』 「……動いていいか？」 「ん。俺も……動いて……ほしい……」 　野間の返事に俺の心臓がドクンとはねた。 　ひどくしないように……慎重に……そう思いながらゆっくりと腰を動かした。 「……あ、……ん、……んっ……」 「……ぅ……あ、……野間……」 『あ……黒木が中で動いてる。やばいやばい……黒木でいっぱい……。動き方優しい……嬉しい……黒木……っ』 　野間が痛がってなくて安心した。 　気持ち良すぎてやばい……。俺は理性を保つのに必死だった。ゆっくり優しく野間の中で動いた。 「あ……っ、ンッ、くろき……」 『なんか……気持ちいかも……もっとほしいかも……』 　ひどくしないよう必死におさえていたが、聞こえてきた野間の言葉にタガが外れた。 　一度スピードを上げるともう止まらなかった。 　ごめん野間……もう優しくできそうにない……。 　 「野間……野間……」 「アッ、あ……っ、ンッ、はぁっ、やば……いぃっ、あぁ……っ」 　野間の声がいっそう高くなって、ひきつれたような喘ぎ声に変わった。 「あぁっ、やぁッ、やばいやばい……っ、あ……っ、くろ……きぃ……っ、アッ、ん……っっ、くろきぃ……っ」 　とろけきった顔をして、回らない舌で何度も俺の名を呼ぶ野間に頭が沸騰した。 　野間の心は『気持ちい』『やばい』『優しい』『嬉しい』を繰り返す。 　可愛い野間……。もう俺だけのものにしたい……。俺を好きになってくれ、野間……。 　ハッと我に返って気持ちを打ち消した。 　慌てて野間を見たが、もうイきそうなのか喘ぐのに必死だ。いまのは聞かれずに済んだと胸を撫で下ろした。 　野間をイかせてやろうと強めに奥に打ちつける。 「ひやぁっっ、だめっ、も……だめっ、アッ、アッ、ゔゔーーーーッッ」 　ぎゅうっと俺の背中にしがみついて、野間は吐精した。