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第21話〈黒木〉※
中の締め付けと痙攣がやばい。
気持ち良すぎて動きを止められない俺に、野間が制止をかけた。
「くろ……きっ、ま……まって……っ」
「ん、野間?」
「お、俺……イッたばっか……だから……。ちょ……とま……て……」
「……そ……うか、イッたあとはつらいんだったな。忘れてた、すまん」
野間はふるふると首をふる。
「……野間……もう今日は無理しなくていい」
まぶたにキスをして、野間の中から自身を抜こうとしたが、野間が「ぬくなっ」とぎゅっと抱きついてきた。
「だ……から、すぐ……ぬこうとすんな……って。ただ……ちょっとだけ……まって……」
『まだ離れたくない……』
野間の言葉にドキッとした。
それはどういう意味なんだ……野間……。
「……わかった。待つよ。いくらでも待つ」
「…………くろき……は……きもちい……? イけそう……?」
「イけそう、じゃなくて……イかないように必死だった。……気持ちよすぎてやばい……」
「そ、か。よかった……」
『俺だけじゃなくて良かった……』
野間はほんの少しだけ休んだあと「動いていいよ」と言った。
「もう……? まだつらいんじゃないのか?」
「ん、もう平気」
「いや、絶対無理してるだろう?」
「もうだいぶ平気。大丈夫だから」
『黒木にちゃんと……俺の中で出してほしい……』
いまのは俺に言った言葉なのか野間が思ったことなのか……どっちだ?
しがみついて顔を肩口に隠したまま返事がない。
俺に言った言葉ではないらしい。
本当に可愛い、野間。本当に……可愛いよ……。
「……すぐイクから、ちょっとだけごめんな」
「……ん。…………あっ、アッ、ん……っ」
達しないように我慢していただけだから、本気でイこうと思えばすぐだった。
「……野間……うっっ!! …………くぅ、……ぁ……」
「……んっ、……はぁ……」
俺は野間の中で果てて倒れ込んだ。
野間をぎゅっと抱きしめて余韻にひたった。
『……黒木……俺ん中でビクビクしてる……なんか可愛い……』
『…………可愛いって言うな』
『黒木、可愛い可愛いー』
『……おい』
『いいじゃん、俺さんざん言われたもん可愛いって』
『……お前な……』
はぁと息を吐いて顔を上げると、首に腕が回ってきた。
野間はキスをねだってる。……だから、可愛すぎだろう。
キスを期待して見つめてくる野間に、俺は一瞬でやられて唇を奪うようにふさいだ。
「……んぅ、……ん、……はふ……」
『俺……黒木のキス……好き……』
『…………お前は……キスだけは……好きって言うよな』
『……ん?』
『……いや。俺も好きだ。お前とのキス……』
キスをしながら野間が嬉しそうに笑ったのがわかった。
「……え、おい、なんで……っ。やめろよ」
「ん? なんでだ? 事後ってこういうもんじゃないのか?」
「じ、事後って言うなよっ!」
「お前はなんで怒ってるんだ?」
事後の色々をティッシュで処理して、野間を腕枕で抱きしめたらキャンキャン言い出した。
『ちょっと、え、マジでなんで終わったあとまで抱きしめたりすんのっ? なんでなんでやばいって。黒木やばいカッコイイ……。ってはぁ? カッコイイってなんだよっ! 俺なに言ってんのっ?』
野間の心がパニックになってる。面白すぎる。
『顔めっちゃ熱い。ドキドキやばいっ。……え、え、なんでっ? はぁっ? やばいまた勃ってきたっ。うそだろっ? 黒木にバレたら恥ずすぎるっっ!』
野間が慌てて下半身が当たらないように腰をずらした。
『…………ってどうせ聞こえてんじゃんっっ! バレバレじゃんっっ! うわぁぁぁーーーー!!』
思わずぶはっと吹き出して笑ってしまった。
「野間、あんまり笑わせるな。腹苦しい」
「……わ、悪かったなっ」
野間の顔を覗きこむと、真っ赤な顔で涙まで浮かべている。
「なんで……泣いてるんだ?」
「し……知らねぇよっ。なんか胸がわーってなって、もっとぶわーってなって、じわーって出てきたんだよっ」
擬音が多すぎて全然わからない。わからないがとにかく可愛い。
野間といると心臓が何個あっても足りないな……と苦笑した。
下半身を押し付けると、野間のそこは本当に硬くなっていた。
「く、黒木やめ……っ」
また離れていこうとする野間の腰を、グッと手で阻止して俺は聞いた。
「野間。…………もう一回、する?」
野間はハッとした顔で俺を見て、頬をさらに真っ赤に染め上げた。
「…………う……ん……。……する……」
『やばい嬉しいすげぇ嬉しいやばい……』
『……野間……ほんと可愛い……』
「……また、かわ…………ぅん、……ん……」
唇をふさいで舌を絡めると、とたんにまたトロンとした顔になる。
俺の愛撫にさっきよりも素直によがって声を上げる野間は、本当に死ぬほど可愛かった。
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